ニューファンドランド(読み)にゅーふぁんどらんど(英語表記)Newfoundland

翻訳|Newfoundland

精選版 日本国語大辞典 「ニューファンドランド」の意味・読み・例文・類語

ニューファンドランド

(Newfoundland) カナダ南東端、ニューファンドランド島本土ラブラドル半島東部のラブラドル地方からなる州。州都セントジョンズ。沖合にグランドバンクがあり、タラ・ニシン漁が盛ん。一五八三年イギリス植民地となり、一九四九年カナダに編入翌年、州となる。

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デジタル大辞泉 「ニューファンドランド」の意味・読み・例文・類語

ニューファンドランド(Newfoundland)

カナダ東端にある島。付属島やラブラドル半島とともにニューファンドランド‐アンド‐ラブラドル州をなし、州都セントジョンズ所在。1583年に英国初の植民地となり、1949年からカナダ領。周囲海域は霧と氷山が多く、南東方には大漁場グランドバンクスがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ニューファンドランド」の意味・わかりやすい解説

ニューファンドランド[州]
Newfoundland

カナダ東端の州。ニューファンドランド島とカナダ本土のラブラドル地方から成り,面積37万3872km2。人口51万6000(2005)。州都セント・ジョンズ。長かったイギリス領時代を反映して人口は圧倒的にイギリス系で,93%を占める。島の気候はラブラドル寒流の影響で厳しく,年間降雨(雪)日は207日にも達し,霜から解放されるのは6月から10月初めの4ヵ月にすぎない。ラブラドル地方はもっと乾燥しているが,一年の半分は雪に埋もれている。ニューファンドランド島の沖合には世界有数の漁場があり,漁業が伝統的に島の経済を支えてきた。現在でもこの伝統は衰えておらず,労働力の半分は漁業および水産加工などの関連産業に従事している。しかし州第1の産業は近年脚光を浴びているラブラドルの鉄鉱石を中心とする鉱業で,全生産高の31%を占める。また1979年には島の東方320kmの沖合に大油田が発見され,その将来性が期待されている。第2の産業である工業の生産高のうち水産加工を含む食品加工が半分を占めている。タラ漁をはじめとする漁業もいまだに州の全産出高の8%に達する。

 ニューファンドランド島は1497年にJ.カボットが〈発見〉し,それを根拠に1583年H.ギルバートはここをイギリス領と宣言した。イギリスが海外に領土を所有した最初であった。1713年正式にイギリス領と認められたが,厳しい自然条件に阻まれて大規模な定住はなかなか実現しなかった。1855年,責任政府を樹立して自治植民地となり,67年のカナダ連邦形成には不参加。しかし財政の悪化から1933年責任政府を返上して再びイギリスの統治下に入った。第2次大戦後の住民投票でカナダ加入を決定し,49年3月31日を期してカナダの第10番目の州となった。カナダ本土から孤立した歴史をもつところからニューファンドランド人は〈ニューフィーNewfie〉と呼ばれ,誇り高い気質をもつとされる。州名の由来はイギリスの漁夫たちが呼んだ〈新しく発見された島New Found Land〉による。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニューファンドランド」の意味・わかりやすい解説

ニューファンドランド
にゅーふぁんどらんど
Newfoundland

カナダ東端の州。同名の島とそれに付属する多数の小島、および1809年属地となったラブラドル半島の一部よりなる(ニューファンドランド・ラブラドル州ともいう)。面積37万0501.69平方キロメートル、人口51万2930(2001)。州都はセント・ジョンズ。人口の9割以上がニューファンドランド島に、約59%が都市域に集中している。1949年3月に10番目の州としてカナダ連邦に加入した。気候が寒冷でしかも露出岩が多いため、土地は不毛で耕作に適さず、住民の大半は漁労と自然林の伐採に従事している。島の南東方海面のグランド・バンクスは世界有数の漁場で、同国の約3分の1の漁獲高を占めている。19世紀以降、鉄、鉛、亜鉛、銅などの鉱産資源が注目され、とくにラブラドルの鉄鉱石による鉱業は同国全生産高の31%を占め、州第一の産業となっている。また1979年にはグランド・バンクスに大油田が発見され、連邦政府と州が共同で資源開発にあたっており(完成時日産12万5000バレル)、その将来性が期待されている。パルプ・製紙工業、魚類加工のほか、石油化学、輸送用機械製造などの諸工業が発達している。ラブラドルのチャーチル滝には大規模な水力発電所がある。

[山下脩二]

歴史

1583年、イギリス人航海家ギルバートSir Humphrey Gilbert(1537?―83)が同島の領有を宣言してイギリス初の海外植民地となったが、フランスも権利を主張し、1713年ユトレヒト条約でイギリス領と認められた。世界有数の漁場を沖合いに有して漁業の根拠地として発展し、1855年には大幅な自治が認められた。カナダ(連邦)への参加を勧められるが、イギリス本国との一体感が強く、財政的困窮もあずかって、長くイギリス領植民地としてとどまり、ようやく1949年3月、自由党のJ・スモールウッドの指導下にカナダの一州となった。

[大原祐子]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ニューファンドランド」の解説

ニューファンドランド
Newfoundland

北アメリカ北東部に位置する島。11世紀初頭に少数のヴァイキングがこの島に一時定住したと推定される。15世紀末ジョヴァンニ・カボートの探検後,周辺海域が豊かな漁場として注目され,英仏両国が領有権と漁業権を争ったが,1713年にイギリスの領有が確定した。カナダ連邦形成後も別個の自治植民地であったが,1949年カナダ連邦に加入した。

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犬&猫:ペットの品種がわかる事典 「ニューファンドランド」の解説

ニューファンドランド【Newfoundland】

カナダのニューファンドランド島原産の大型犬。水掻きのついた指があるため泳ぎが得意で、水難救助犬としても活躍している。1919年に20人が乗った救命ボートを陸まで引いていった記録がある。JKCでは、第2グループ(使役犬)に分類する。

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世界大百科事典(旧版)内のニューファンドランドの言及

【大航海時代】より

…オランダはこのほか北アメリカ大陸にも進出し,1614年にはニューアムステルダム(現在のニューヨーク)を建設した。 新大陸におけるイギリスの進出はカリブ海(1604以降),バージニア(1607以降),ニューファンドランド(1610以降),ニューイングランド(1620以降)で行われた。バージニア,ニューイングランド植民地は農業をその基礎としていたが,事実上はその農産物をカリブ海などのスペインの植民地に輸出していたのであって,その限りにおいてイギリスの植民地はスペインの植民地に対して補足的役割を果たしていたということができる。…

※「ニューファンドランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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