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ヌエル族 ヌエルぞく Nuer

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヌエル族
ヌエルぞく
Nuer

南スーダン北部のナイル川沿岸に居住するナイル語系の民族。ヌアー族ともいう。人口約 150万と推定される。生業は牧牛を中心とし,農耕,漁労,狩猟,採集を伴う混合経済であるが,ウシが諸価値の中心となっている。

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世界大百科事典 第2版の解説

ヌエルぞく【ヌエル族 Nuer】

アフリカのスーダン共和国南部,ナイル川とその支流バハル・アルガザル川・ソバト川流域の平原に住む牧畜民。ヌアー族とも呼ばれる。自称はナースNaath。1930年代にイギリスの社会人類学者エバンズ・プリチャードが調査し,三部作の民族誌を著した。本項の記述は主として彼の著作によるもので,30年代のヌエル社会のことである。 ヌエル語は東スーダン諸語の西ナイル語系に分類されている。人口は30年代に20万であったが,60年代には30万に増えている。

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世界大百科事典内のヌエル族の言及

【ウシ(牛)】より

… 他方,東アフリカの牛遊牧民は,固有のしかたで牛を思考や表現の素材として用いている。スーダンのヌエル族,エチオピアのボディ族で典型的に認められるが,彼らは,多様な牛の身体模様のパターンを,色,模様のあり方についての微細で多様な分類によって区別して認識している。しかもその分類語彙(ごい)は,他の自然物の形容にも転用される基本的語彙群をなしている。…

【家畜】より

…いったいどのような固有名が付与されるかは,ときにこれら家畜への人の側からの関係意識を反映していることがある。 ヌエル族では牛は婚資として用いられる。また口論や暴力沙汰の代償として牛が支払われる。…

【死】より


[社会的代償]
 他界での第二の生という観念が十分に展開されていない文化(例えばアフリカの牧畜民社会)では,個人の死は子孫の繁栄とか名まえの継承など社会的な代償によって一種の救済を受ける。ヌエル族のあいだで幽霊婚として知られる慣習は,結婚をすることなく死んだ人物の名義で別の者が結婚することによって,そこに生まれた子どもを死者の子どもとする制度であるが,財産の相続など経済的な側面を別にしても,これによって死者は社会的な無化から免れることができるのであり,その意味で死という問題を社会制度のなかできわめて巧みに馴致(じゆんち)するものだといってよい。隣族のディンカにおいても,子どもをもつことは不死を達成する唯一の方法であるといわれている。…

【時間】より

… 民俗社会の時間の意味単位は,具体的活動や労働の一区切りを意味内容としており,近代社会において支配的な数量的意味しかもたぬ単位(秒,分,時間など)は顕著でない。東アフリカの牧畜民ヌエル族では,一日の時間の経過を示しできごとの時刻を参照する時計は,数量化された時計や太陽の位置ではなく,牛舎から牛を出す―搾乳―牛の放牧―ヤギや羊の搾乳―牛舎の掃除―牛を牛舎に戻す,などの一連の牧畜作業の区切りからなる〈牛時計〉であった。また民俗社会の暦の多くも,農事暦のように作業単位からなり,数量的な日付をもたぬ暦もある。…

【成年】より

…この霊的存在とのかかわりによって力を得て〈空虚〉は満たされ,男・大人になる第一歩を踏み出し,以後は日々の暮しの中で一人前の人間としてしだいに認められていくことになる。アフリカのスーダン南部の牧畜民ヌエル族では,集団的性格がずっと強く,14~16歳ころにムラごとに成年式があり,その後はムラを超えた部族単位の年齢集団に所属するのである。この儀礼で骨に達するほどの深い傷をつけて,額に一生残る瘢痕を形成し成人の明確な刻印とする。…

【亡霊婚】より

…多くは未婚のままか後継者なしで死んだ者のために,財産相続や祖先祭祀が途絶えることのないように行われる。アフリカの牧畜民ヌエル族では,男子はみな自分の財産の持分を得,結婚して新しいリネージを創設する権利をもっている。しかし,男があとつぎを持つ前に死んだ場合,その近親者の一人が,共有財産のなかから花嫁代償を支払って,死者の名義で妻を迎える。…

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