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ヌーボー・ロマン ヌーボー・ロマンnouveau roman

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヌーボー・ロマン
ヌーボー・ロマン
nouveau roman

アンチ・ロマンともいう。 1950年頃から注目されはじめたフランスの新しい傾向の小説。サルトルサロートの小説『見知らぬ男の肖像』 (1949) の序文で,アンチ・ロマンという言葉を用いて,小説の外見を保ってはいるが実は小説自身によって小説に異議を唱え,小説を破壊することを目指していると評して以来,同様の小説が目立つようになり,S.ベケットロブ=グリエビュトール,C.シモンデュラスらがにわかに脚光を浴びた (今日ではロブ=グリエの主張に従ってヌーボー・ロマンという呼称が一般的となる) 。

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百科事典マイペディアの解説

ヌーボー・ロマン

1950年代に登場したフランス小説の傾向。アンチ・ロマンanti-romanとも。ジャーナリストによる便宜上の呼名であって,流派でも運動でもない。サロートロブ・グリエビュトール,C.シモンの小説に代表される。
→関連項目クノートゥルニエヌーボー・テアトルボバリー夫人ポンジュルーセル

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヌーボー・ロマン
ぬーぼーろまん
nouveau romanフランス語

第二次世界大戦後にフランスにおこった新小説。普通『嫉妬(しっと)』(1957)のロブ・グリエ、『プラネタリウム』(1959)のサロート、『心変り』(1957)のビュトール、『フランドルへの道』(1960)のシモンら4人の作家をさすが、さらにベケット、デュラス、パンジェ、およびソレルスら『テル・ケル』Tel Quel誌グループを含める評者もいる。最初サルトルがサロートの『見知らぬ男の肖像』(1949)を、小説が小説自身を反省する現代小説の一つと評して、その序文で「アンチ・ロマン」anti-roman(反小説)と命名したのが契機だが、今日ではこの呼称は用いられない。流派を形成することなく、独自の作風を展開していった前述の4人の営為が、フランス小説の相貌(そうぼう)を一変させたのは、次の三つの共通点による。
 第一に、客観的写実描写と合理主義的心理分析を基軸とした、バルザック以来の小説作法を否定し、作者が整理を加える以前の自然発生的な知覚や衝動や記憶を、構造的にいっそう忠実に再現しようとしたこと。その意味では、リアリズムのいっそうの深化とも解釈でき、事実、心理の微分的追跡に専念したサロートは、その枠内にとどまった。第二に、前述の必然的結果として、新しい現実に即した新しい形式や技巧や言語を最大限に重視したこと。とりわけ、後期のロブ・グリエとシモンは、形式を表現手段としてではなく生産手段としてとらえ、形式の戯れが奔放な想像力の展開を促すロブ・グリエの『ニューヨーク革命計画』(1970)やシモンの『三枚つづきの絵』(1973)といった、類のない傑作を書いた。第三に、いわゆる筋や人物の性格や物語的時間が排除され、未整理の材料だけが提示されるために、読者が積極的に創作行為に参加することを要請されたということ。
 いうなれば、これらの小説は、読者を受け身の享受の状態にとどめる従来の小説と異なり、読者の自由を尊重し、それに呼びかけて、読者とともに世界に問いかける文学なのである。付言すれば、これらの作品の多くが、ロブ・グリエが文芸顧問を務めていたエディシオン・ド・ミニュイ社から出版されているのも、もう一つの重要な共通点である。[平岡篤頼]
『J・ブロックー・ミシェル著、島利雄・松崎芳隆訳『ヌヴォー・ロマン論』(1966・紀伊国屋書店) ▽ロブ・グリエ著、平岡篤頼訳『新しい小説のために』(1967・新潮社) ▽リカルドゥー著、野村英夫訳『言葉と小説』(1969・紀伊國屋書店) ▽リカルドゥー著、野村英夫訳『小説のテクスト――ヌーヴォー・ロマンの理論のために』(1974・紀伊國屋書店) ▽鈴木重生著『ヌーヴォー・ロマン周遊――小説神話の崩壊』(1989・中央大学出版部) ▽鈴木重生著『続ヌーヴォー・ロマン周遊――現代小説案内』(1999・中央大学出版部)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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