ノエシス(英語表記)noesis

  • noēsis
  • 〈ドイツ〉Noesis
  • ドイツ

翻訳|noesis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ノエマ noemaとともに E.フッサール現象学における術語で,両者は意識の契機として相関的な関係にある。ギリシア語nous,noeinに由来する。フッサールによれば,意識は常になにものかについての意識であり,したがって意識には作用側面と対象的側面があり,前者がノエシス,後者がノエマと呼ばれる。ノエシスは単に志向作用であるばかりではなく,意味を付与する作用でもある。そしてこの作用に対応し,この作用によって構成されたものがノエマである。ノエシスは reell (実有的) であるのに対し,ノエマは ideell (観念的) である。日本では,西田幾多郎の絶対無の思想に取入れられている。 (→志向性 )  

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百科事典マイペディアの解説

フッサール現象学の用語。ギリシア語のnousおよびnoeinに由来し,対象を志向し,これに意味を付与する意識体験をいう。具体的には知覚想起,判断,願望など。意識されている意味内容そのものがノエマNoemaで,ノエシスは必ずノエマをともなう。

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世界大百科事典 第2版の解説

ギリシア語のヌース(精神,理性),およびそれと同系のノエイン(思惟する,知覚する,直観する)からの派生語noēsisに由来するフッサールの現象学の術語。フッサール自身,ある個所でノエインを〈直接的に見ること〉と訳し,〈対象を本質的に与える意識としての見ること一般〉は,したがって感性的直観だけでなく,むしろ本質直観が〈あらゆる理性的主張の正当性の究極の源泉〉であると述べている。ここにも現象学の直観主義的性格を認めうるが,しかし彼の場合,直観の能力としての感性と思惟の能力としての悟性は,例えばカントの場合ほど明確な対立関係に置かれておらず,むしろ相互流動的な相対的概念である。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (Noesis) フッサールの現象学の用語。意識の作用的側面。意識が志向的対象に意味を与える作用。志向的作用。→ノエマ
※叡智的世界(1928)〈西田幾多郎〉三「自覚的一般者に於て自己自身を直に志向するもの、云はばノエシスの中にノエマを含むものが個人的自覚である」

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世界大百科事典内のノエシスの言及

【フッサール】より

…それゆえ現象学者は対象の実在を素朴に認める態度を一時中止(エポケー)すると同時に,反省のまなざしを自分自身の意識作用そのものへ向けるための現象学的還元(または超越論的還元)を行わねばならない。この還元の結果あらゆる対象は,もはや端的な超越者とはみなされず,もっぱら意識の志向的相関者として,すなわち認識されている限りにおいて,意識体験の領域に志向的に内在するノエマ的対象(思念されている対象)として,その認識の可能性と存在性格を究明されることになる(ノエシス)。この超越論的還元と並行して現象学者はさらに,個々の事実をその本質(形相=イデア)へ還元する形相的還元を行わねばならない。…

※「ノエシス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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