ノグチゲラ(その他表記)Pryer's woodpecker
Sapheopipo noguchii

共同通信ニュース用語解説 「ノグチゲラ」の解説

ノグチゲラ

翼長15センチほどのキツツキで沖縄県北部の森林地帯にしかいない固有種。国の特別天然記念物に指定されている。照葉樹林に暮らし、大木に穴を掘って営巣する。森林伐採や農地開発などによって生息地の破壊分断が進み、1960~90年代に個体数が激減した。雄は地上昆虫などの餌を捕るためマングースや野生化したネコなどに襲われやすい。環境省は、ごく近い将来絶滅する危険性が極めて高い種としている。90年代の調査では数は最大500羽とされたが現在の生息数など詳しいことは分かっていない。

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改訂新版 世界大百科事典 「ノグチゲラ」の意味・わかりやすい解説

ノグチゲラ (野口啄木鳥)
Pryer's woodpecker
Sapheopipo noguchii

キツツキ目キツツキ科の鳥。全長約31cm。全身赤みを帯びた暗褐色をしていて,下面は淡い。翼と尾は黒褐色で,翼には小さな白斑があり,成鳥の雄と雌の頭部は暗褐色だが,若鳥の雄では頭頂が赤い。くちばしは灰白色。沖縄本島北部にのみ分布し,イタジイやオキナワウラジロガシなどの常緑広葉樹原生林にすむ。枯木,倒木,朽ちた切株などにくちばしで穴を開け,甲虫類の成虫幼虫,あるいはアリ類の成虫,さなぎなどを食べる。キョッキョッと鳴き,繁殖期には枯れた幹や枝をくちばしでたたき,タラララ……という音を出す。イタジイなどの枯れた樹幹に巣穴を掘るが,繁殖生態についてはよくわかっていない。世界で沖縄本島だけに分布する。1886年にプライヤーT.W.Pryerが採集したが,英名はこれにちなむ。現在,沖縄県国頭村の西銘岳,伊部岳から与那覇岳,東村の伊湯岳にかけての森林に約200~600羽程度が生息していると推定されているが,森林の伐採が進み,このままでは絶滅のおそれがある。特別天然記念物に指定されている。
キツツキ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノグチゲラ」の意味・わかりやすい解説

ノグチゲラ
Sapheopipo noguchii; Okinawa woodpecker

キツツキ目キツツキ科。全長 31cm。背,腰,胸,腹が赤みを帯びた暗褐色で,と尾は黒く,初列風切に白斑がある。雄は頭上と後頭が暗赤色を帯びているが,雌は暗褐色。生息域は沖縄島北部の原生林で,きわめて狭い範囲にかぎられている。生息数は 1960年代から 1980年代にかけて森林伐採の影響で急速に減少し,近年ではマングースやノネコ,ハシブトガラスなどに襲われ,さらに減っている。およその生息数は,1991~93年には 500羽,2009年の報告では 320~390羽,つがい数も 100以下と推定されている。1977年に国の特別天然記念物(→天然記念物)に指定された。環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧IA類にあげられている。沖縄県県鳥

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノグチゲラ」の意味・わかりやすい解説

ノグチゲラ
のぐちげら / 野口啄木鳥
Pryer's woodpecker
[学] Sapheopipo noguchii

鳥綱キツツキ目キツツキ科の鳥。中形種で全長約30センチメートル、全体に暗赤色を帯びた褐色で、下面はやや淡く、翼には小白斑(はくはん)が少数あり、雄は頭上が赤い。世界中で沖縄本島北部山地の天然林にのみ生息し、近くに近縁種がいるわけでもない、という珍しいキツツキであるが、この天然林の伐採とアメリカ軍の演習地化によって、生息地が縮小し生存が危ぶまれている。1972年(昭和47)に国の天然記念物に指定されたが、生息環境の保護を伴っていないので、まだ絶滅のおそれがある。生態はよく調査されていない。

[浦本昌紀]


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百科事典マイペディア 「ノグチゲラ」の意味・わかりやすい解説

ノグチゲラ

キツツキ科の鳥。翼長16cm。全体に赤味がかった暗褐色で,翼や尾は黒褐色。下面は淡い色。沖縄本島北部の森林にのみ生息する固有種。スダジイなどの樹洞に営巣し,昆虫,クモ,植物の果実をおもに食べる。キョッキョッと鳴く。個体数は数百羽しかいないとみられる。特別天然記念物。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。

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