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ノリス Norris, Frank

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ノリス
Norris, Frank

[生]1870.3.5. シカゴ
[没]1902.10.25. サンフランシスコ
アメリカの小説家。本名 Benjamin Franklin Norris。青年時代に画家を志してパリに渡ったが,まもなく帰国,カリフォルニア,ハーバード両大学に学び,サンフランシスコで記者となる。在学中からゾラ,キップリングらの影響を受けていたが,ロマン主義的な小説『レディ・レティ号のモーラン』 Moran of the Lady Letty (1898) で文壇にデビュー。次いでサンフランシスコの無免許の歯科医を主人公とする自然主義小説『マクティーグ』 McTeague (99) を発表,さらに壮大な規模で,小麦の生産から消費までの過程を描こうとする3部作『小麦の叙事詩』 The Epic of the Wheatに着手。第1部『章魚 (たこ) 』 The Octopus (1901) ,第2部『小麦取引所』 The Pit (03) を書いたが,第3部『狼』 The Wolfは未完のまま死去。死後発表された『バンドーバーと野獣』 Vandover and the Brute (14) は内なる獣性のため堕落する青年芸術家を描いたもの。ほかに評論集『小説家の責任』 The Responsibilities of the Novelist (03) など。アメリカ自然主義文学の先駆者の一人として高く評価される。

ノリス
Norris, George William

[生]1861.7.11. オハイオ,サンダスキー
[没]1944.9.2. ネブラスカ,マックック
アメリカの政治家。弁護士を経てネブラスカ州で政界に入り,1902年連邦下院議員。次いで 12年連邦上院議員に当選。孤立主義的立場に立って海外進出政策に批判的な態度をとり,他方でダム建設など公共事業に深い関心を寄せ,テネシー川流域開発公社 TVAの実現のために尽力した。

ノリス
Norris, John

[生]1657. コリンバーンキングストン
[没]1711. ビマートン
イギリスの哲学者。ケンブリッジ・プラトニストに属し,またデカルト,マルブランシュ哲学の研究者。主著は英知界の存在を論じた『観念的・英知的世界の理論への試論』 An Essay Towards the Theory of the Ideal or Intelligible World (2巻,1701~04) ,ロックを批判した『〈人間悟性論〉考察』 Reflections upon a Late Essay Concerning the Human Understanding (1690) ,「内なる光」を論じた『神の光についての二講』 Two Treaties Concerning the Divine Light (92) 。

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百科事典マイペディアの解説

ノリス

米国の作家。ゾラの影響下に大学時代書いた《マクティーグ》が1899年に発表され,自然主義作家として成功。ボーア戦争や米西戦争の報道に携わって社会問題への関心を深め,米国の自然と経済を扱う三部作《小麦の叙事詩》に取りかかったが,《オクトパス》(1901年),《小麦相場》(1903年)のみで病死した。
→関連項目ハウエルズ

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世界大百科事典 第2版の解説

ノリス【Franklin Norris】

1870‐1902
アメリカの小説家。シカゴの富裕な宝石商の子として生まれ,サンフランシスコで育った。2年間のパリ生活ののちカリフォルニア大学,ハーバード大学で学んだ。サンフランシスコで記者となり,週刊誌《ウェーブ》で精力的に活躍したが,1898年海洋冒険小説《レディ・レッティ号のモラン》で注目され,ニューヨークに移った。ついで発表した《マクティーグ》(1899)では,遺伝と環境の力によって破滅する人間の姿を描き,自然主義文学の旗手となった。

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大辞林 第三版の解説

ノリス【Frank Norris】

〔本名 Benjamin Franklin N.〕 (1870~1902) アメリカの小説家。ゾラの影響を受け、アメリカ文学に自然主義を導入した。代表作「章魚たこ」「死の谷」

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ノリス
のりす
Frank Norris
(1870―1902)

アメリカの小説家。正式には、Benjamin Franklin Norris。アメリカ自然主義文学の先駆者。シカゴの富裕な宝石商の子として生まれ、幼時サンフランシスコに移住。14歳のときパリに遊学、帰国後1890年にカリフォルニア大学に入学、学内誌に短編を発表し、『マクティーグ』(1899刊)に着手、1894年にハーバード大学の聴講生になり、『バンドーバーと野獣』(1914、没後刊)を書き始める。1895年に新聞記者として南アフリカに行くが病を得て1896年に帰国、以後、サンフランシスコの週刊紙『ウェーブ』の記者として活躍する一方、処女作『レディ・レティ号のモラン』(1898)を発表し、作家としての地位を確立した。ノリスはゾラや社会進化論の影響を受け、遺伝と環境の力によって破滅する人間の姿を描いたが、同時に、壮大な冒険を好むロマンス作家の一面もあった。この特質は「小麦三部作」のうち、鉄道資本と西部農民の抗争を扱った叙事詩的小説『オクトパス(たこ)』(1901)、シカゴの小麦取引を描く『小麦取引所』(1903)に顕著であるが、第三部『狼(おおかみ)』はノリスが夭折(ようせつ)したため完成しなかった。文学理論として、文体よりも真実を語ることを重視するノリスの主張は、評論集『作家の責任』(1903)にまとめられている。[井上謙治]
『八尋昇訳『オクトパス』(1983・彩流社)』

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世界大百科事典内のノリスの言及

【アメリカ文学】より

… リアリズム全盛時代の文壇の大御所はW.D.ハウエルズである。彼は《アトランティック・マンスリー》誌の編集者などとしてトウェーンやH.ジェームズらの作品を世に送り出したばかりか,ノリス,S.クレーンなどの若い作家の育成にも努めた。ジェームズは,ヨーロッパに住むアメリカ人という国際的な状況と,ホーソーン的倫理観とを心理主義的に作品化することに優れ,《ある婦人の肖像》(1881)などを発表した。…

【鉄道】より

… 同じことはイギリス以外の国でもみられる。アメリカでは西部開拓の先頭に立った鉄道に対し,素朴な敬意を表し,機関車の力と躍動美を詩でたたえたホイットマンがいた反面,大陸横断鉄道を大地と庶民の血を吸ってふくれ上がる醜悪な〈タコ〉(F.ノリスの小説(1901)の表題である)にたとえる者もいた。トルストイは《アンナ・カレーニナ》(1875‐77)の中で,鉄道を神意の代行者として描いたが,ゾラは《獣人》(1890)において,個人の意志とは無関係に遺伝と環境によってはじめから決定づけられている人間を,破滅に向かって暴走する機関士もいない列車,それにまったく気づかない酔っぱらった乗客として描き,機関車を生物学的決定論の化身として登場させた。…

※「ノリス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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