精選版 日本国語大辞典 「バイオマス」の意味・読み・例文・類語
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ある時点にある空間に存在している生きた生物体の量をいい、生物体量、生物量、現存量ともいう。普通、バイオマスは重量あるいはカロリー量で表され、個体群や生物群集について用いられる。
バイオマスは、あくまである時間断面における生物の量を表したもので、それまでの生物生産の結果として存在する量である。生物は、一方で繁殖や成長などによって絶えず生産され、他方では死亡や捕食などを通じて絶えず失われていく。バイオマスはこれら背反する二つの過程のなかで表されるある時点における量で、生産性あるいは生産速度と混同してはならない。海の藻場やサンゴ礁での純一次生産速度は、熱帯降雨林に匹敵するほど大きいが、バイオマスは20分の1以下である。
[牧 岩男]
従来、農業においては目的とする生産物の収量にのみ重点が置かれ、しかも貨幣経済のなかでの収支を問題とし、それらを基調として農業技術の開発が行われて近代農業が確立された。しかし、1978年(昭和53)末からの第二次石油ショックが契機となって、植物体に有機物として蓄えられた太陽エネルギーを積極的に利用することが考えられるようになり、バイオマスとかバイオマスエネルギーという用語がしばしば用いられるようになった。そして広くは植物性廃棄物などのエネルギー化や、生物生産の目的となっている以外の未利用部分のエネルギーとしての活用を含めての意味で用いられている。農学関係でバイオマスという場合には、一定面積からの最大のカロリー生産量を期待して、どのような植物がよいかの広範囲な探索調査が進められ、生産量とエネルギー化の両面から研究が行われている。話題となっているものには、アルコール生産原料としてのサトウキビ、サツマイモ、キャッサバなどや、含有精油成分を考えてのユーカリノキ、コパイフェラなどがある。
また、植物全体としての収量のもっとも高い植物はないかという面から探索研究が進められ、ネピアグラスは1ヘクタール当り60~80トンが見込みうるということで注目を浴びている。しかし種類によって、それぞれ発酵によるアルコールとかメタンガス生産の原料としてエネルギー化をするとか、精油成分蒸留とか溶剤による抽出を行わなければならない。したがって、原料生産とエネルギー化の過程における消費エネルギーと生産エネルギーの収支と、貨幣経済のなかでの収支がどのようになるかを、十分に検討する必要がある。また、このような場合エネルギー化のみを考えるのではなく、付加価値の高い抗菌性物質とか医薬として利用できる成分などの探索を行い、複合的にみての評価を行う必要がある。
さらに農学上、生態学的用語を取り入れるとすれば、バイオマスという用語のもつ基本的な意味を理解し、エネルギー化のみにこだわらず、その考え方のもとに複合的な組合せによる総合的な最大生産量をあげうる生産体系を考えるべきであろう。
[近藤典生]
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(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2007年)
(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
生物,とくに植物を資源の面からみたときの名称.石油,石炭,ウランなどの有限資源に対して,自然界で再生可能な資源の一つと位置づけられる.植物は死滅したり,燃料,化学工業原料などとして用いられても,最終的には水,二酸化炭素,窒素,リン,カリウム,その他を含む有機または無機質へ転化され,これらは自然界の光合成循環系に組み込まれ,植物群として再生される.このように,大気中の二酸化炭素から再生できるバイオマスは,燃焼しても大気中の二酸化炭素濃度を増やさないエネルギー資源と考えられ,重要視されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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【オイルシェール,タールサンド】
オイルシェール,タールサンド(オイルサンド)は,液状のエネルギー,すなわち石油資源が不足するとの見通しから,強い関心が払われた。エネルギー一般としては,原子力,地熱,水力資源が大きな役割を果たすことができるが,内燃機関用燃料として石油に代わりうるのは,石炭液化燃料か,もしくはオイルシェール,タールサンド,ないしはバイオマス利用によるアルコールくらいしか考えられないからである。 このオイルシェールの確認可採埋蔵量については世界エネルギー会議は石油に換算して142億t,タールサンドについては36億tと推計している。…
…潮流,濃度差はいずれもまだ実験室段階である。 このほか海洋バイオマスを利用したエネルギー化システムが開発されつつある。これは海藻のうち大型になり,単位面積当りの収量の多い(たとえば10kg/m2以上)生産性の高いものを選び,多量に栽培し,収穫したうえ,発酵システムによってメタンガスを得る方法である。…
※「バイオマス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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