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バルカン半島大洪水 ばるかんはんとうだいこうずい

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知恵蔵2015の解説

バルカン半島大洪水

2014年5月にヨーロッパ東南部にあるバルカン半島で発生した、1世紀ぶりといわれる大洪水。セルビアボスニア・ヘルツェゴビナで220万人以上が被災し、更なる被害拡大や2次災害などが憂慮されている。
5月13日にアドリア海で発生した温帯低気圧タマラ(Tamara)が、14日から15日にかけてバルカン半島付近で停滞した。これによって、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア集中豪雨がもたらされた。偏西風の大きな蛇行の影響で、上空の寒気と低気圧がバルカン半島に停滞したところに、南のアドリア海からの暖かく湿った空気が流入し続けて、この地域に長時間激しい雨が降り続いた。降り始めからの降水量は、平均で100から200ミリ、多いところでは300ミリ以上に達し、15日の日降水量は各地でこれまでの最高値を記録した。この大雨によってサバ川(ボスニア・ヘルツェゴビナとクロアチアの国境からセルビアに流れる)や、支流のボスナ川が増水・氾濫し、広範囲にわたって大規模な洪水となった。土砂崩れ地滑りは2100カ所にも及んでいるという。
5月19日、ボスニア・ヘルツェゴビナのラグムジャ外相は、人口の4分の1以上に当たる100万人を超す国民が清潔な飲料水を確保できていないと明らかにした。5月20日までに少なくとも死者は62人、被災者は120万人に上り、この地域では過去120年で最悪の洪水被害となった。地元メディアによると、5月23日には各地で洪水が収まりつつあるものの、気温の上昇に伴い感染症が発生する危険性が高まっていると報じた。また、この洪水によって、ボスニア戦争(1992~95年)で残された多数の地雷が流れ出て散乱した。地雷原を示す標識もないことから、地雷による「2次災害」の危険性も危惧されている。
地雷・不発弾除去のため、アメリカはこれまでにボスニア・ヘルツェゴビナとセルビアに約1億1000万ドル(約112億円)を支援している。また、ドイツのシュタインマイヤー外相はボスニア・ヘルツェゴビナを訪れ、被災支援や地雷除去のため700万ユーロ(約9億8000万円)の拠出を約束した。日本政府は5月17日、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府からの要請を受けて、国際協力機構(JICA)を通じて約1200万円相当の緊急援助物資(テント、スリーピングパッドなど)を供与すると発表した。また、東日本大震災の折は数百万ドルの義援金を、セルビア赤十字が日本にいちはやく届けてくれたとの話が広まり、日本赤十字だけでなく民間企業・団体や個人から多くの寄付が寄せられている。

(金谷俊秀  ライター / 2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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