バルナーブ(その他表記)Antoine Barnave

改訂新版 世界大百科事典 「バルナーブ」の意味・わかりやすい解説

バルナーブ
Antoine Barnave
生没年:1761-93

フランス政治家アルプスに近いグルノーブルの高等法院検事の家庭に生まれ,自身も同法院の弁護士となる。フランス革命勃発を予告するグルノーブル〈屋根瓦の日〉事件で革命指導者として頭角を現し,1789年の全国三部会の議員に選出された。憲法制定国民議会では,三頭派,フーイヤン派(フーイヤン・クラブ)に属し,立憲君主制の枠内で政治的諸権利の平等を目ざすブルジョアジー利害を代弁,91年憲法の制定では,国王不可侵性を主張,国王に対する制限は拒否権付与を要求した。しかし92年8月の市民蜂起による王権停止の直後,宮廷との通諜の嫌疑で逮捕され,93年11月29日処刑された。著書に《フランス革命序説》(1843)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルナーブ」の意味・わかりやすい解説

バルナーブ
Barnave, Antoine (-Pierre-Joseph-Marie)

[生]1761.9.21. グルノーブル
[没]1793.11.29. パリ
フランスの革命家。グルノーブル高等法院弁護士を経て,1789年全国三部会に参加。憲法制定国民議会においては A.デュポールラメット兄弟らと接近し,三頭派と呼ばれ,雄弁をふるって国王の諸特権制限を主張したが,バレンヌ逃亡事件後国王ルイ 16世のパリ送還の役目を引受けてから,王妃マリ・アントアネットに接近し,次第に王家支持に傾き,秘密顧問をつとめた。 92年グルノーブルに帰省中,パリのチュイルリー襲撃で王室との通信が発覚して逮捕され処刑された。処刑まで 15ヵ月間獄中にあり,その間『フランス革命序説』 Introduction à la révolution française (1792執筆,1843刊行) を書いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルナーブ」の意味・わかりやすい解説

バルナーブ
ばるなーぶ
Antoine Barnave
(1761―1793)

フランスの政治家。グルノーブルの高等法院検事の子に生まれる。20歳で弁護士となった。モンテスキューの著書に親しみ、議会政治の実現を夢みる。1787年、名士会の開催に伴う高等法院の反王権闘争に情熱を傾けた。1789年全国三部会の代表に選ばれ、国民議会の結成に奔走。8月4日夜の議場で、封建的身分制の廃止決議に同調した。憲法制定議会ではラメット兄弟、デュポールとともにトリオムビラ(三頭派)を結成。一院制の議会を中軸とする立憲王制の立場を表明した。次の立法議会には、ラ・ファイエットらと提携して、「1791年憲法」を守りぬこうとするフイヤン派議員を院外から指導。生来情熱的で、自由と平等の原則を無条件に信奉したが、同時に法万能の知性派の立場から、大衆の数の力を結集して過激な改革を推進しようとするジャコバン派や革命政府とは一線を画した。そのため1793年の恐怖政治の犠牲に供され、32歳で刑死した。

[金澤 誠]

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百科事典マイペディア 「バルナーブ」の意味・わかりやすい解説

バルナーブ

フランスの政治家。フランス革命期の国民議会議員。最初急進派であったが,のちフーイヤン派(フーイヤン・クラブ)の指導者となった。革命派と国王の妥協を図り失敗,隠退。宮廷との通信を発見され処刑。遺稿《フランス革命序説》。

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世界大百科事典(旧版)内のバルナーブの言及

【使徒教父】より

…伝統的には〈使徒たちの教えを受けた教父たち〉という意味で用いられている。初期においては《バルナバの手紙》《クレメンスの第1の手紙》《クレメンスの第2の手紙》《ヘルマスの牧者》《イグナティオスの手紙》《ポリュカルポスの手紙》《ポリュカルポスの殉教》の7書のみが含まれていたが,19世紀になってから新たに《パピアスの断片》《クアドラトゥスの断片》《ディオグネトスへの手紙》《ディダケー》が加えられた。 これらのうち《ディオグネトスへの手紙》のみは,本来護教文学と呼ばれる一連の文書に属するのであるが,11章1節で著者が自分のことを〈使徒たちの弟子〉と呼んでいるために使徒教父文書に入れられたと思われる。…

※「バルナーブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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