バルビタール(英語表記)barbital

翻訳|barbital

デジタル大辞泉 「バルビタール」の意味・読み・例文・類語

バルビタール(barbital)

マロン酸尿素との縮合によって得られるバルビツール酸系の代表的な催眠薬白色結晶ジエチルバルビツール酸

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精選版 日本国語大辞典 「バルビタール」の意味・読み・例文・類語

バルビタール

〘名〙 (barbital) バルビツル酸のジエチル誘導体で、代表的な催眠剤。催眠作用は強力で睡眠が深く、吸収および排出速度は最小である。〔薬の効用(1964)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「バルビタール」の意味・わかりやすい解説

バルビタール
barbital



ジエチルバルビツール酸ともいい,鎮静・催眠薬として用いられる長期間作用型の催眠薬である。1903年E.フィッシャーが工業的製造法を発明し,メーリングJoseph Mering(1849-1908)が催眠効力を認めてベロナールVeronalと名づけた。フランスではジエチルマロニル尿素という。無色葉状の結晶あるいは白色結晶性の粉末で,わずかに苦味がある。水に溶けにくいのでナトリウム塩としたものを溶性バルビタールとして用いる。注射薬には溶性バルビタールの10%液を用いる。内服は1回0.3gを用いる。劇薬であり,日本薬局方規定による極量は1回0.5g,1日1.5gであり,それ以上の使用は危険である。また連用は避けなければならない。
向精神薬 →催眠薬
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化学辞典 第2版 「バルビタール」の解説

バルビタール
バルビタール
barbital

5,5-diethylbarbituric acid.C8H12N2O3(184.20).マロン酸ジエチル臭化エチルを作用させたのち,尿素をナトリウムエチラート存在下で加熱し,ナトリウム塩とし,これを塩酸で中和すると得られる.白色の針状晶.無臭で,わずかに苦味を呈す.融点188~192 ℃.水,熱水,エタノールに溶解する.バルビツル酸誘導体の長時間作用型睡眠薬で,中枢神経系に対する抑制作用がある.習慣性を有し,0.8~1.0 g を2~3か月連続使用すると禁断症状を伴う慢性中毒となる.そのほか,吐き気,頭痛,無気力感などの副作用もある.ベロナール,バルビトーン,マロナールなどの商品名で市販されている.エチル基フェニル基に置き換わったフェノバルビタールは,バルビタールに比べて4倍の催眠作用をもつ.[CAS 57-44-3]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルビタール」の意味・わかりやすい解説

バルビタール
ばるびたーる
barbital

1903年にドイツで創製された長時間作用型の睡眠鎮静剤で、バルビツール酸系睡眠剤の基本的薬物である。無色もしくは白色の結晶または結晶性粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。依存性を有し、また連用により耐性を生ずる。不眠症の治療や不安緊張の鎮静に用いられたが、現在ではあまり用いられていない。劇薬。極量は1回0.5グラム、1日1.5グラム。通常は1日0.6グラムを2回に分けて服用する。

[幸保文治]

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百科事典マイペディア 「バルビタール」の意味・わかりやすい解説

バルビタール

バルビツール酸誘導体で,無色〜白色結晶または結晶性粉末。無臭,微苦味。全中枢神経抑制作用があり,熟眠剤として不眠症に適用。また鎮静薬として乗物酔い等に用いることもある。習慣性による慢性中毒ではアルコール中毒様の症状を呈する。(図)
→関連項目アミタール面接フェノバルビタール

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルビタール」の意味・わかりやすい解説

バルビタール

バルビツル酸」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のバルビタールの言及

【印象主義】より

…またコローは戸外で制作する機会が多く,画面は明るいニュアンスに満ちたものとなった。独立した自然をさまざまな様相でとらえたバルビゾン派は,自然観察の側面で印象派に影響を与えた。しかしなんといっても直接に若き彼らを励まし導いたのは,クールベ,ドービニー,ヨンキント,ブーダンらである。…

【コロー】より

…画壇ではさして芽も出なかったが,ゴーティエ,ネルバルなどロマン主義文学運動の闘士たちは,古典主義的ながらも,情感豊かな彼の作品を高く評価した。バルビゾン派の風景画家たちとも制作場所を同じくするときがあったが,一世代年長のコローは助言者的立場にとどまり,自身は光と大気をやわらかな銀灰色を主調に描く独自の風景画を模索し続けた。50歳になってもボードレールなど一部批評家が好意的であったにとどまり,名声とは縁遠かった。…

※「バルビタール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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