パキケファロサウルス(読み)ぱきけふぁろさうるす(英語表記)pachycephalosaur

デジタル大辞泉 「パキケファロサウルス」の意味・読み・例文・類語

パキケファロサウルス(〈ラテン〉Pachycephalosaurus)

鳥盤目周飾頭亜目堅頭竜下目の恐竜の一。中生代白亜紀後期、北アメリカ生息全長約4メートル、体重250~800キロ。二足歩行で、厚さ約25センチのドーム状の頭骨をもち、頭の周囲や鼻の上に突起があったとされる。草食性

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パキケファロサウルス」の意味・わかりやすい解説

パキケファロサウルス
ぱきけふぁろさうるす
pachycephalosaur
[学] Pachycephalosaurus wyomingensis

鳥盤目周飾頭(しゅうしょくとう)類(亜目)厚頭竜類(下目)パキケファロサウルス科Pachycephalosauridaeに属する恐竜。北アメリカの白亜紀後期、約6805万年~6550万年前の地層から産出した全長約4メートルの草食恐竜。初めに発見されていたのは頭骨だけで骨格が不明であったが、1994年には、ばらばらの骨とはいえ、ほぼ全身骨格が発見され、現在、東京・上野の国立科学博物館に組み立てられている。属名は「厚い頭のトカゲ」という意味。頭骨の骨の厚さが25センチメートルと厚いことや、頭骨の表面に装飾が発達すること、頭頂部の周りには皮骨が発達し、尾の先端部で骨化した腱(けん)が網状に覆っていることなどがこの類の特徴である。頭突きをしたといわれてきたが、組立て骨格の頸(くび)の骨の検討結果では、頭と頸、背中を一直線に伸ばすには適していないという。また常識的にも丸いドームで頭突きをするのはむずかしく、頭の中心がそれると頸をひねったり顔に大けがをすることになるであろう。そこで、頭どうしの頭突きではなく、わき腹に頭突きをしたのではないかと考えられている。パキケファロサウルスは厚頭竜類のなかでもっとも大きい。頭骨は長さがあり、口先がやや長い。頭頂は高くドーム状に盛り上がっている。頭骨の縁を取り囲むように、鼻の上と側頭部から後頭部にかけて骨質の小突起が密集し、後頭部ではこぶ状ないし棘(とげ)状に大きくなったものがある。頭上の突起は武器というよりも、仲間うちのディスプレー用ではないかという。武器としては棒状の固い尾を使ったのであろう。普通、厚頭竜類は頭骨やその断片しか知られていない例が多い。これは、生存時に高地や乾燥地などに生息していたので、そういう場所では化石となったり保存されたりしにくいからと考えられている。この恐竜がなにを食べていたのかは不明である。小さな歯をもっていたが、カモノハシ竜や角竜(つのりゅう)類ほどは固い植物をうまくかみ砕くことはできなかったのではないかといわれ、葉や種子、果実、昆虫などを食べる雑食性であったのではないかと想像されている。

[小畠郁生]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パキケファロサウルス」の意味・わかりやすい解説

パキケファロサウルス
Pachycephalosaurus

爬虫類鳥盤目周飾頭亜目パキケファロサウルス科の恐竜白亜紀後期,北アメリカに生息した。体長 4.6mと推測される。カナダ,アルバータ州で発見。頭骨の長さは 60cm,上部の骨の厚さは 25cmもあり,ドーム状にふくれ,ヘルメットのような外観を呈す。雌を奪い合うときに頭突きをしたと想像される。首の前後部はとげやこぶで飾られていた。

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デジタル大辞泉プラス 「パキケファロサウルス」の解説

パキケファロサウルス

白亜紀後期に生息した鳥盤類周飾頭類の草食または雑食恐竜。全長約7メートル。ドーム状の頑丈な頭骨が特徴で、後頭部から鼻にかけては角のような突起がある。

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