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パブロフ Pavlov, Ivan Petrovich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

パブロフ
Pavlov, Ivan Petrovich

[生]1849.9.14. リャザン
[没]1936.2.27. レニングラード
ソビエト連邦の生理学者。条件反射研究の創始者。 1870年,ペテルブルグ大学で自然科学を学び,1879年陸軍軍医学校を卒業,ドイツに留学。帰国後,同医学校の薬理学教授,1895年には生理学教授となる。消化管の生理学的研究で 1904年ノーベル生理学・医学賞受賞。 1902年頃から始められた条件反射の研究は画期的な実験方法で,より自然な状態で動物の生理を観察できることから,客観的な科学的心理学に強い影響を与え,特にアメリカの行動心理学に基盤を提供した。またイヌの実験神経症形成の手法の発見は,人間の精神障害の科学的研究にも貢献した。主著『大脳半球の働きについての講義』 Lektsii o rabote bol'shikh polusharii golovnogo mozga (1927) ,『条件反射による動物高次神経活動 (行動) の客観的研究の 20年』 Dvadtsatiletnii opyt obektivnogo izucheniya vysshei nervnoi deyatel'nosti (povedeniya) zhivotnykh uslovnye refleksy (1932) 。

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百科事典マイペディアの解説

パブロフ

ロシア,ソ連の生理学者。ペテルブルグ大学を卒業後,ドイツに留学,実験技術などを学ぶ。軍医学校の薬理学教授,パブロフ生理学研究所長。消化液分泌の神経支配を解明した業績に対し,1904年ノーベル生理医学賞。
→関連項目ワトソン

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世界大百科事典 第2版の解説

パブロフ【Ivan Petrovich Pavlov】

1849‐1936
ロシアの生理学者。中部ロシアのリャザンで司祭の子として生まれた。1870年,ペテルブルグ大学に入学,ツィオンI.F.Tsionの指導のもとに生理学を志し,在学中に膵臓神経の研究に対して金賞を授けられた。卒業後,軍医学校に入学,79年に医師免許を獲得した後,ライプチヒのK.ルートウィヒ,ブレスラウのR.ハイデンハインについて,生理学の研究を行った。86年帰国,ボトキンS.P.Botkinの研究所に入り,90年には軍医学校の薬理学教授となる。

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大辞林 第三版の解説

パブロフ【Ivan Petrovich Pavlov】

1849~1936) ロシア・ソ連の生理学者。消化腺の研究により条件反射作用を発見、精神活動の客観的観察の糸口を見いだし、大脳生理の基本法則を明らかにした。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

パブロフ
ぱぶろふ
Иван Петрович Павлов Ivan Petrovich Pavlov
(1849―1936)

ロシアの生理学者。9月14日、中央ロシアのリャザニの牧師の子に生まれる。教会で教育を受けたのち、ペテルブルグ大学で学び、1875年陸軍軍医学校に入り医学を学んだ。かたわら獣医学研究所生理学研究室で助手として働き、ついで1878年ボトキンСергей Петрович Боткин/Sergey Petrovich Botkin(1832―1889)の臨床研究室で主任格として生理学研究に従事した。1879年、金メダルを受賞して卒業、ただちに2年間の奨学金を得て、引き続きボトキンの研究室で、血液循環、消化、薬理学的研究を行った。そしてこの間にブレスラウ大学の生理学教授ハイデンハインRudolf Heidenhain(1834―1897)のもとで2年間、続いて1884年から1886年はライプツィヒ大学生理学教授ルートウィヒに師事した。1890年軍医学校の薬理学教授に任命され、1895年同校生理学教授となり、以後30年間生理学教室を主宰し、1924年辞任した。この間1891年に実験医学研究所が新設され、その生理学研究部門の主任に迎えられ、現職を兼務し、このほうは生涯を終えるまで45年間務めた。
 彼の輝かしい業績は消化腺(せん)および条件反射の研究である。ハイデンハインの小胃法を改良し、神経無傷の小胃法を考案し、純粋胃液の採集を可能にした。この方法で、小胃(胃瘻(ろう))、食道瘻、耳下腺瘻(せんろう)、膵瘻(すいろう)を作成し、無条件(先天性)反射および条件(後天性)反射性の消化液分泌の研究を行い、条件反射学を創始、発展させた。この条件反射の研究は、大脳の生理機能を研究するうえで重要な手段として貢献した。1889年以来次々と業績を発表、消化腺に関する初期の著名な論文として『神経支配のある小胃法』(1894)、『胃および食道瘻による純粋胃液の採集』(1895)、『嗅覚(きゅうかく)は胃液分泌を引き起こす』(1898)などがあり、1904年「消化の生理に関する研究」でノーベル医学生理学賞を授与された。代表的著書として『条件反射学講義』(1928)、『大脳両半球の働きについての講義』(1927)、『条件反射研究の20年』(1932)などがあり、各国語に翻訳されている。
 パブロフのもとには世界各国からの入門者が相次ぎ、スペランスキーをはじめ多くの俊英が輩出した。また招かれて、イギリス、フランス、スイスなど各地で条件反射や大脳生理に関する講演を行った。1936年2月27日レニングラード(サンクト・ペテルブルグ)で死去。[中山 沃]
『林髞訳『条件反射学』全3冊(新潮文庫)』

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世界大百科事典内のパブロフの言及

【記号】より

…もっとも広い意味での記号とは,〈ある事物・事象を代理するもの〉のことをいう。この代理の生理学的メカニズムはI.P.パブロフによって明らかにされた。食物摂取による唾液分泌は無条件反射だが,犬に食物を与える際にブザーの音を聞かせておくと,犬はブザーの音を聞いただけでも唾液を分泌するようになる。…

【条件づけ】より

…また,この型の学習では2種の刺激の組合せ(連合)が重要であり,連合学習associative learningという。この学習のモデルとして,I.P.パブロフの条件反射を原型とする古典的条件づけと,E.L.ソーンダイクの道具的条件づけがある。これらはともに二つの過程の連合が重要で,古典的条件づけでは2種の刺激の連合が,道具的条件づけでは動物の反応とそれを基準とした強化刺激の連合が重要となる。…

【条件反射】より

I.P.パブロフによって研究,発見された学習現象の一種で,学習の最も基本的な型をなすと考えられている。パブロフの条件反射は生理学の領域から出発したが,それは諸方面,とくに心理学に大きな影響を与えた。…

【信号】より

…信号には,たとえば〈行け〉という表現のように言葉によってその意味を伝達する〈言語的信号〉と,表情や身ぶりによってそれを伝達する〈非言語的信号〉がある。パブロフは,動物が条件反射によって獲得した信号を〈第1信号系〉と呼び,人間の言語をとくに〈第2信号系〉と呼んで区別している。また,話し手が相手に情報を伝えるため意図的にこれを用いる〈意識的信号〉と,伝達の意思はないのに怒りや喜びなどの感情が相手に伝わる〈無意識的信号〉を区別できる。…

※「パブロフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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