日本大百科全書(ニッポニカ) 「パーシー」の意味・わかりやすい解説
パーシー
ぱーしー
Walker Percy
(1916―1990)
アメリカの小説家。アラバマ州バーミングハムの生まれ。医学博士。病院勤務中結核に感染し、療養生活ののち創作に専念。性行動の冒険に失意を味わった30歳の男がノイローゼの女と結婚する『映画狂い』(1961)で全米図書賞を獲得。『最後の紳士』(1966)、『廃墟(はいきょ)の愛』(1971)、妻の不貞を契機に悪の探究に惑溺(わくでき)する男を描いた『ランスロット』(1977)、『再来』(1980)、『タナトス・シンドローム』(1987)など着実に作品を発表し、キルケゴール、カミュら西欧実存主義の影響のもとに、精神の荒廃にさらされる現代をいかに生きるかの主題を追究した。
[杉浦銀策]
『板橋好枝訳『廃墟の愛』(1976・講談社)』▽『浜野成生訳『最後の紳士』(1975・冨山房)』