ヒドラ(ギリシア神話)(読み)ひどら(英語表記)Hydra

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒドラ(ギリシア神話)」の意味・わかりやすい解説

ヒドラ(ギリシア神話)
ひどら
Hydra

ギリシア神話怪物で、九つの頭をもつ水蛇。エキドナ(蛇女)とティフォンの娘で、ヘラクレスを苦しめる目的でヘラ女神によって育てられた。レルネの沼に住んで付近の人畜を害していたが、九つの頭のうち真ん中の頭は不死で、ほかの八つの頭は一撃されると2倍になって生えかわった。ヘラクレスは、12の難業の一つとしてこのヒドラ退治に向かうが、撃てば撃つほど頭が増えるうえ大蟹(かに)が加勢に現れたので、甥(おい)のイオラオス援助を求めてヒドラの首の付け根を火で焼かせ、真ん中の頭の部分を切り離して地中に埋めて退治した。ヘラクレスはヒドラの胆汁に矢を浸して毒矢とし、一方、ヘラはヒドラと大蟹を星座にあげた。

[中務哲郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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