腔腸(こうちょう)動物門の1綱Hydrozoaを構成する動物群。原則として付着性のポリプ型と自由遊泳をするクラゲ型の両方の世代をもち世代交代を行うが、種類によってはそのうちの一方を欠いていることがある。一般にポリプ型は小形であるが、それらは群体を形成していることが多く、その群体は高さ数十センチメートルの大きさになることがある。また、まれには1個の単生のポリプがやはり高さ数十センチメートルあるいはそれ以上の大形になることもある。個々のポリプは一般に円筒形で、先端の口を取り巻いて数本の触手をもつ。体は外皮から分泌された包皮とよばれる堅い膜で包まれていることが多い。クラゲは皿状あるいは鐘状で、口柄・放射管が発達し、傘縁から内側へ向けて縁膜があるのが特徴。ほかの腔腸動物であるハチクラゲ綱や花虫綱と比べて体の構造は簡単で、胃腔内に隔膜などはまったくみられない。一般に雌雄異体であり、生殖腺(せん)はほかの腔腸動物と異なって外胚葉(がいはいよう)性で、クラゲの体の口柄上あるいは放射管上に発達するが、クラゲ型をもたない種類ではポリプの体上に直接つくられる。受精した卵はプラヌラを経て小ポリプになる(ポリプをもたない種類ではクラゲになる)。また出芽・縦分裂など無性生殖もしばしば行われる。
ヒドロ虫類は世界に約3000種ほど知られ、ほとんど大部分が海産であるが、ヒドラやマミズクラゲなど例外的に淡水にすむものもある。ヒドロ虫綱は、次の4目に分けられる。ヒドロイド目(ヒドラ、オベリア、マミズクラゲ)、ヒドロサンゴ目(サンゴモドキ)、硬クラゲ目(かたくらげもく)(カラカサクラゲ、ツリガネクラゲ)、管クラゲ目(くだくらげもく)(ヨウラククラゲ、カツオノエボシ)。
[山田真弓]
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