ヒドラ(英語表記)Hydra

デジタル大辞泉 「ヒドラ」の意味・読み・例文・類語

ヒドラ(Hydra)


ギリシャ神話で、九つの頭を持った海蛇ヘラクレスに退治される。ヒュドラ
冥王星の第3衛星。名は由来。2005年にハッブル宇宙望遠鏡で発見された。直径は40~50キロ。ヒュドラ。
hydra)ヒドロ虫綱ヒドラ科の腔腸こうちょう動物の総称。淡水産。ポリプ型だけがあり、棒状に細長く、体長約1センチ。先端に口が開き、その周りの6~8本の触手を伸ばして餌を捕る。下部の柄で水草や沈んだ落ち葉に付着。有性生殖も行うが、ふつう出芽によって増殖。再生力が強い。

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精選版 日本国語大辞典 「ヒドラ」の意味・読み・例文・類語

ヒドラ

[1] (Hydra 「水蛇」の意) ギリシア神話で、ヘラクレスに退治された九つの頭をもつ巨大な海蛇。一つの頭を打つと二つの頭が生え出るというもの。
※化物の進化(1929)〈寺田寅彦〉「誰か八頭の大蛇とヒドラのお化けとを比較した人があった」
[2] 〘名〙 (hydra) ヒドラ科の刺胞動物の総称。体長一センチメートル内外。体は褐色の円筒状で、体の下端の足盤で他物に付着する。上端の口の周囲には伸縮性に富む五~八本の糸状の触手があり、水中微生物を捕食する。池沼の水草や水底枯葉、石などに付着して生活する。雌雄異体で、有性生殖によるほか無性的に出芽によっても繁殖する。再生の実験に用いられる。
宇宙(1909)〈三宅雪嶺〉二「ヒドラの如く、身体を分截すれば分截せるままに生存し」

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改訂新版 世界大百科事典 「ヒドラ」の意味・わかりやすい解説

ヒドラ
hydra

ヒドロ虫綱ヒドラ科Hydridaeに属する腔腸動物(刺胞動物)の総称。名は,ギリシア神話の多頭の水蛇ヒュドラにちなむ。淡水産で日本各地の池や沼などにすみ,水中の枯葉,枯枝,水草などに付着している。体は高さ5~15mmの細長い円筒形で,前方の口をとり巻いて6~8本の触手がならんでいる。ふつう黄褐色であるが,食物や共生している藻類によって変化することもある。口から胃腔に続くが,肛門がないので,不消化物は再び口からだされる。雌雄異体または同体で,雌雄による有性生殖と出芽による無性生殖を行うが,クラゲをつくることはない。また有性生殖の時期は種類によって異なる。触手には多くの刺胞があり,ミジンコなどの餌に刺糸(しし)を発射して毒液を注入してとらえ口へ運ぶ。足盤と触手とを交互に物に付着させながら移動する。日本では数種のヒドラが知られていて,ヌマヒドラHydra paludicolaやチクビヒドラH.magnipapillataは各地に広く分布し,ヒメヒドラH.parvaは関東以北,エヒドラPelmatohydra robustaは東北地方以北に分布している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒドラ」の意味・わかりやすい解説

ヒドラ
Hydra

刺胞動物門ヒドロ虫綱花クラゲ目ヒドラ科ヒドラ属に属する種の総称。体は一般に 1~1.5cmの細長い円筒形で,先端にある口の周囲に 6~8本の長い触手をもつ。口およびそれに続いて胃腔があるが,肛門はない。ポリプ型(→ポリプ)のみで,クラゲ型(→クラゲ)の時期はない。おもに出芽により繁殖するが,雌雄異体で,有性生殖も行なう。各地の池や沼などにすみ,水中の落ち葉や水草の上に付着し,触手上にある刺胞ミジンコなどを捕えて食べる。なお,日本各地に広く分布するヒドラ Hydra japonica(他種と区別するためにヤマトヒドラと呼ぶこともある)のほか,近縁種にさらに小型のヒメヒドラ H. parva やヨーロッパ産のグリーンヒドラ H. viridissima などがある。(→刺胞動物ヒドロ虫類無脊椎動物

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百科事典マイペディア 「ヒドラ」の意味・わかりやすい解説

ヒドラ

ヒドロ虫類ヒドラ科の腔腸(こうちょう)動物の総称。体は円筒状で長さは約5〜15mm。黄褐色のものが多い。足盤で水草,枯葉,石などに付着し,先端の口の周囲にある6〜7本の触手をのばして水中の微生物を捕らえる。雌雄異体で有性生殖をするほか,無性的に体側から新しい個体を出芽してふえる。全世界に分布し,淡水産で,池や沼などにいる。日本にはヌマヒドラ,ヒメヒドラなど。名はギリシア伝説のヒュドラに由来。
→関連項目腔腸動物

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デジタル大辞泉プラス 「ヒドラ」の解説

ヒドラ

円谷プロダクションによる特撮ドラマシリーズ「ウルトラシリーズ」に登場する怪獣。高原竜。初登場作品は『ウルトラマン』。身長60メートル、体重なし。轢逃げ事故で死亡した少年が生前に描いた絵が実体化したもので、始祖鳥に似る。

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世界大百科事典(旧版)内のヒドラの言及

【再生】より

… 以上のような失われた部分を復元する修復再生に対し,生理的再生といわれ,表皮や消化管の粘膜上皮や血球などのように,個体の維持のためにつねに行われている再生の過程がある。この再生様式をとることで知られる最も下等な動物ヒドラでは,口部直下の部域より,内外2層のみの体壁にそって細胞が上下に流れ続けており,上方では触角の先端部,下方では基部の中心に達したものから順に脱落していく(図3)。同様の現象が,脊椎動物に至るまで,内外両胚葉の上皮組織に広くみられるということは,生理的再生の過程が多細胞体制の本質に深くかかわるものであることを物語っている。…

【トランブレー】より

…教育の才能をみこまれて貴族の息子の家庭教師となり,その成人後に十分な退職金をもらい,スイスにもどった。彼は教育,政治,宗教などに関する著作を多く書いているが,ヒドラの再生実験を行ったことで有名である。一匹のヒドラを切り離してばらばらにしても,それぞれの部分から再び成体が形成される事実の発見は,当時の発生学論争において,後成説を支持する有力な証拠とみなされた。…

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