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ビオチン biotin

翻訳|biotin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ビオチン
biotin

ビタミンH。微生物発育因子腸内細菌によって合成,分泌されているため,欠乏症はほとんど起きない。炭酸固定の反応に補酵素として関与し,炭酸担体として働く。高級脂肪酸生合成のほか,プリン体およびヘムの合成,尿素生成にも役立っている。欠乏すると皮膚炎を起す。

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百科事典マイペディアの解説

ビオチン

ビタミンB複合体の一種。ビタミンHとも。融点230〜232℃,針状結晶。尿素回路クエン酸回路,その他脂肪酸合成などに関係し,二酸化炭素の固定や脱離に働く。動物では腸内細菌により合成されるため欠乏症状は起こりにくい。
→関連項目ビタミン

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栄養・生化学辞典の解説

ビオチン

 C10H16N2O3S(mw244.32).

 ビタミンH,補酵素Rともいわれた.B群のビタミンの一つ.炭酸固定反応を触媒する,たとえばピルビン酸カルボキシラーゼなどの酵素の補酵素として働く.卵白中に,ビオチンを特異的に結合するタンパク質アビジンが存在する.欠乏させると,動物では皮膚炎,脱毛,痙攣,姿勢異常,飛節症(鳥類)などの症状がでる.ヒト全血の正常値は25ng/ml以上とされる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

食の医学館の解説

ビオチン

炭水化物、脂質、たんぱく質の代謝をにない、皮膚や髪の健康にも重要な役割をもっています。不足すると、湿疹や抜け毛、白髪の増加のほか、疲労感や憂うつ感などの症状をまねきます。レバー(とくに鶏)、イワシピーナッツ、たまご、クルミきなこなどに多く含まれています。成人1日あたりの目安量は男女とも50μg、上限はとくにありません。

出典 小学館食の医学館について 情報

漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典の解説

ビオチン【Biotin】

水溶性ビタミンのひとつ。ビタミンB群に分類される。皮膚炎予防因子として発見されたビタミン。糖新生に必要な酵素であるカルボキシラーゼの機能を補助する補酵素として働き、糖質の代謝に関わるビタミン。酵母、大豆、魚介類、卵黄、肉類、穀類、豆類などに多く含まれる。糖質の再合成を補助し、皮膚・爪・毛髪を健康に維持するほか、筋肉痛の緩和、脂漏(しろう)性皮膚炎・アトピー性皮膚炎などの予防・改善、血糖値の正常調整などの作用をもつ。◇ビタミンHはかつての呼称。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

大辞林 第三版の解説

ビオチン【Biotin】

ビタミン B 複合体の一。腸内細菌によって合成される。欠乏すると脱毛や皮膚炎を起こす。ビタミン H 。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ビオチン
びおちん
biotin

ビタミンB複合体の一つで、ビタミンHともいう。ビオチンはピルビン酸カルボキシラーゼなどに共有結合している補欠分子族(補欠分子団)で、活性型CO2の自在に動く運び手(担体)である。ほとんどの生体に存在し、必要とされるビタミンB2複合体のビオチンのD-異性体構成成分で、アビジン(塩基性糖タンパク質)によって不活性化される。生体カルボキシル化反応に関与し、アビジンに対し高親和性をもつ低分子である。アビジンは酵素的または組織化学的方法により可視化できるように前もって標識された抗体と容易に結合する。
 ビオチンは、酵母とヒトの発育因子として1936年、ドイツ生まれのオランダの生化学者ケーグルFritz Kgl(1897―1959)と、当時彼のもとで研修していたユトレヒト大学院生のテーニスBenno Tnnisによって単離、命名され、1942年にデュ・ビニョーによって構造が決定された。
 ビオチンは、補酵素として二つの型の酵素反応を助ける。すなわち、
(1)ATP(アデノシン三リン酸)依存性のカルボキシル反応、たとえばアセチル補酵素Aカルボキシラーゼ反応
(2)カルボキシ基(カルボキシル基)転移反応、たとえばメチルマロニル‐オキサロ酢酸トランスカルボキシラーゼ反応
に関与する。また、ビオチン欠乏動物の組織は二酸化炭素をオキサロ酢酸へ取り込む能力が低下し、脂肪酸合成能も低下している。ビオチン欠乏症は、たいていの動物ではこの栄養素を食物中から抜いても発症しない。おそらく腸内細菌がビオチンを合成するためであると考えられる。[有馬暉勝・有馬太郎・竹内多美代]
 なお、ビオチンは食品に広く分布しており、また腸内細菌によって供給されるので、成人での欠乏症はほとんどない。腸内細菌叢(そう)の定着が不十分な乳児期にまれにみられ、脂漏性皮膚炎を呈する。母乳中にビオチン含量が低いことと消化機能が未熟であることも原因である。ビオチン欠乏の症状として、乾燥卵白を大量投与したラットの実験によれば、まず鱗屑(りんせつ)状の皮膚炎が現れ、萎縮(いしゅく)性舌炎、食欲不振、筋痛、異常感覚などを訴え、貧血、心電図異常、血中コレステロールおよびビリルビンの増加などが観察された。また皮膚疾患(掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症性骨関節炎)の一部にビオチン投与が効果のあることが報告されている。[木村修一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のビオチンの言及

【アビジン】より

…四量体として存在し,分子量は約6万。1分子当り4分子のビオチン(ビタミンH)を特異的に強く結合する天然のビタミン拮抗体で,熱によって活性を失う。粗卵白で動物を飼育すると,体内でアビジンがビオチンを結合し,その結果ビオチン欠乏症を起こす。…

【ビタミン】より

…前者にはビタミンA,D,E,Kなどがあり,脂肪に含まれる必須脂肪酸をビタミンFということもある。後者にはビタミンB1,B2,B6,B12,C,ニコチン酸,パントテン酸,ビオチン,葉酸などがある。
【各種のビタミン】
 以下,主要なビタミンの生理作用,欠乏・過剰症について解説する。…

【補酵素】より

…分子内のSH基が生理活性の中心。(5)ビオチンbiotin ビタミンHともいう。炭酸固定反応の補酵素として知られ,脂質と糖質の代謝に重要。…

※「ビオチン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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