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ピリジン pyridine

翻訳|pyridine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ピリジン
pyridine

窒素原子1個を含む複素環式化合物コールタールや石油クラッキング副産物中に,他の同族体とともに存在する。以前はこれらを分留したのち,酸との塩形成や塩化カドミウムとの付加化合物形成,硫酸処理などの方法によって精製単離したが,現在では触媒を用いてアルデヒドアンモニア原料として製造される。化学工業の原料や塩基性溶媒として大量に用いられる。無色,特異臭をもつ塩基性液体。沸点 115~116℃。吸湿性があり,水と共沸混合物 (沸点 92~93℃) を形成し,多くの金属塩と付加化合物をつくる。芳香性があり,比較的安定な物質。エチルアルコールの変性剤として用いられる。また金属イオン検出などの分析用試薬である。

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百科事典マイペディアの解説

ピリジン

窒素1原子をもつ6員環芳香族複素環化合物C5H5N。特異臭のある無色の液体。融点−41.8℃,沸点115.5℃。水,エチルアルコールなどと任意の割合で混ざる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ピリジン【pyridine】

ベンゼンの-CH=単位一つを窒素原子で置換した構造をもつ化合物。イギリスのアンダーソンThomas Andersonは,1846年にコールタールからピリジンの同族体であるピコリン(メチルピリジン)を初めて単離し,その後まもなくピリジンそのものを骨油から単離した。当初その構造が確定せず,図1‐bのように書かれていたが,69年イギリスのJ.デュワーによって図1‐aの構造をもつことが示された。ベンゼンの場合と同様,炭素,水素を省略して図1-cのように書くのが普通である。

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大辞林 第三版の解説

ピリジン【pyridine】

複素環式化合物の一。特有の刺激臭ある無色の揮発性液体で、塩基性溶剤として多用されるほか、有機合成原料などに用いられる。化学式 C5H5N 

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ピリジン
ぴりじん
pyridine

6員環内に窒素原子1個を含む複素環式化合物の代表的なものの一つ。ベンゼンC6H6の一つの炭素原子を窒素で置き換えた構造であるので、ベンゼンと同じように共鳴がおこり、芳香族性をもつことが知られている。
 コールタール中に0.2%ぐらい含まれている。ピリジンが塩基性をもっていて酸に溶ける性質を利用して、コールタールを希硫酸と処理して分離していた。
 実験室的な合成法としては、ドイツの化学者A・R・ハンチによるピリジン合成が知られている。この合成法では、β(ベータ)-ケトエステルまたはβ-ジケトンをアルデヒドおよびアンモニアと縮合させてピリジン環を構築する(図A)。工業的には、現在は、シリカ‐アルミナ触媒により高温でホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アンモニアを反応させるアルデヒド法、またはアクリルアルデヒドとアンモニアの反応によるアクロレイン法により合成されている。
 無色の悪臭をもつ液体。弱い塩基性をもっているので、強酸には塩をつくって溶ける。水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルのいずれとも任意の割合で混じり合う。ピリジン環は比較的安定で、付加反応を示さないばかりか、置換反応もおこしにくい。ニトロ化反応に対してはベンゼンよりさらに不活性であり、混酸(硫酸と硝酸の混合物)とは常温では反応せず、高温にすると反応して3-ニトロピリジンを与えるが、収率はよくない。この例でもわかるように、陽イオンによる求電子置換反応は窒素に対してメタの位置におこる。ピリジンを過酸化水素水(オキシドール)で酸化すると、窒素上に酸素がついたピリジン N-オキシドになる。除草剤や医薬品の合成原料、ゴムや塗料関係の溶剤、分析試薬としても使用される(図B)。
 ピリジンの同族体であるピコリン、ルチジンなどの塩基もコールタール中に含まれていて、これらを総称してピリジン塩基とよぶ。[廣田 穰・末沢裕子]

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