翻訳|pyrogallol
1,2,3-トリヒドロキシベンゼンにあたる。焦性没食子酸ともいう。白色結晶,融点131~133℃,沸点309℃。ゆっくり加熱すると昇華する。水,アルコール,エーテルによく溶けるが,ベンゼン,クロロホルム,二硫化炭素には少ししか溶けない。金,銀,水銀の塩を還元して金属を沈殿させ,酢酸鉛との反応では白色沈殿を生ずる。水溶液,とくにアルカリ性水溶液は,空気に触れると酸素を速やかに吸収し暗褐色となる。そのためアルカリ水溶液は酸素の除去に,またこの反応が定量的に進むことからガス分析の酸素の定量にも用いられる。防腐性があるので医薬品として皮膚病の治療に用いられる。そのほかアンチモン,ビスマスの検出,定量にも用いられる。没食子酸を加熱,脱炭酸して合成する。
執筆者:岡崎 廉治
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多価フェノールの一つ。1,2,3-トリヒドロキシベンゼンのこと。焦性没食子酸(しょうせいぼっしょくしさん/もっしょくしさん)という慣用名もある。天然にはそのままの形で、あるいはタンニンの成分として糖と結合した形で広く植物体に含まれる。タンニン酸の加水分解により得られる。白色の針状結晶。還元性が強く、そのアルカリ性水溶液は酸素を速やかに吸収して反応し暗褐色を呈するので、かつては気体中の酸素の分析のために利用した。アンチモンやビスマスの検出試薬としても利用される。水溶液は鉄(Ⅲ)塩で青色を示す。水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルなどにはある程度溶解するが、ベンゼンや石油系の炭化水素にはほとんど溶けない。毒性があるので、皮膚に触れさせないこと。
[徳丸克己]
ピロガロール
分子式 C6H6O3
分子量 126.1
融点 133~134℃
沸点 309℃
比重 1.453
溶解度 1g/1.7ml(水)
1g/1.3ml(エタノール)
1,2,3-benzenetriol.C6H6O3(126.11).焦性没食子酸ともいう.没食子酸を加圧下に水と175 ℃ に加熱脱炭酸すると得られる.結晶.融点133 ℃,沸点309 ℃.1.453.昇華しやすい.水,エタノール,エーテルなどに可溶.還元力がきわめて強い.ガス分析における酸素吸収剤,写真の現像薬,分析用試薬として金,銀,水銀などの金属の沈殿剤,さらに防腐剤,媒染剤,染料合成原料として使用される.LD50 789 mg/kg(ラット,経口).[CAS 87-66-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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