ピロガロール(読み)ぴろがろーる(英語表記)pyrogallol

翻訳|pyrogallol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピロガロール」の意味・わかりやすい解説

ピロガロール
ぴろがろーる
pyrogallol

多価フェノールの一つ。1,2,3-トリヒドロキシベンゼンのこと。焦性没食子酸(しょうせいぼっしょくしさん/もっしょくしさん)という慣用名もある。天然にはそのままの形で、あるいはタンニンの成分として糖と結合した形で広く植物体に含まれる。タンニン酸加水分解により得られる。白色の針状結晶。還元性が強く、そのアルカリ性水溶液酸素を速やかに吸収して反応し暗褐色を呈するので、かつては気体中の酸素の分析のために利用した。アンチモンビスマスの検出試薬としても利用される。水溶液は鉄(Ⅲ)塩で青色を示す。水、エタノールエチルアルコール)、エーテルなどにはある程度溶解するが、ベンゼンや石油系の炭化水素にはほとんど溶けない。毒性があるので、皮膚に触れさせないこと。

[徳丸克己]


ピロガロール(データノート)
ぴろがろーるでーたのーと

ピロガロール

 分子式 C6H6O3
 分子量 126.1
 融点  133~134℃
 沸点  309℃
 比重  1.453
 溶解度 1g/1.7ml(水)
     1g/1.3ml(エタノール)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピロガロール」の意味・わかりやすい解説

ピロガロール
pyrogallol

焦性没食子酸ともいう。1,2,3-トリオキシベンゼンのこと。没食子酸を熱分解して得られる無臭の無色針状晶。融点 131~133℃。昇華性。空気と光によって酸化され,灰色になる。アルカリ性水溶液中ではさらに酸化されやすく,空気を通すと酸素を吸収して暗褐色になる。防腐性,局所刺激性の軟膏,写真の現像 (有毒なため現在は使われない) ,染料製造,分析試薬 (たとえば第二鉄塩で青色,放置すると褐色) ,酸素除去剤に用いられる。

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