没食子酸(読み)モッショクシサン

  • gallic acid
  • ▽没食子酸
  • ぼっしょくしさん
  • ボッショクシサン
  • 没食子酸 gallic acid

百科事典マイペディアの解説

化学式はC6H2(OH)3COOH。〈もっしょくしさん〉とも。没食子のタンニン成分を加水分解して得られる無色の結晶。水,エチルアルコールなどに可溶。水溶液から再結晶したものは1水和物で,融点258〜265℃。アルカリ性水溶液は強い還元性をもち,酸素を吸収する。インキ,現像薬,医薬などの原料として用いられる。(図)
→関連項目油焼け
没食子酸(ぼっしょくしさん)

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世界大百科事典 第2版の解説

3個のフェノール性水酸基を有する芳香族カルボン酸の一つ。〈もっしょくしさん〉とも,またガルス酸,3,4,5‐トリオキシ安息香酸ともいう。没食子や五倍子(ふし),植物の葉,などに広く遊離の状態でも存在するが,普通は没食子酸系タンニンとして存在する。一般にタンニンの加水分解によって得られる。水から再結晶して得たものは,無色の柱状または針状結晶で,結晶水1分子を含む。臭気はなく,味は渋く,わずかに酸性を帯びる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸ともいう。化学式 C6H2(OH)3COOH 。分解点 235~240℃。無色柱状晶。タンニンの加水分解によって得られるフェノールカルボン酸。水に可溶,沸騰水,アルコール,アセトンに易溶。アルカリ性水溶液は強い還元性を示す。インキ製造,写真工業,染料工業,医薬品工業の原料として用いられる。

没食子酸」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

芳香族ヒドロキシカルボン酸の一つ。「もっしょくしさん」ともいわれる。別名はピロガロール-5-カルボン酸、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸。分子式C7H6O5、分子量188.1。

 植物の葉、茎、根、および没食子、五倍子(ごばいし)の虫こぶなどに遊離の状態またはタンニンの構成成分として分布している。没食子はブナ科植物の若芽のモッショクシバチによる虫こぶから、五倍子はウルシ科植物ヌルデの若芽や葉のアブラムシによる虫こぶから得られ、乾物として漢方薬などに使われている。タンニンを加水分解して得られる無色の柱状結晶で、1分子の結晶水を含むが120℃付近で結晶水を失う。融点(258~265℃)において分解し、ピロガロールと二酸化炭素になる()。水によく溶け、鉄(Ⅲ)塩水溶液を加えると青黒色の沈殿を生ずる。強力な還元剤である。タンニンの原料、青インキの製造に使われるほか、写真現像剤、染料の原料、止血剤としての用途ももつ。

[廣田 穰 2016年2月17日]


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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 没食子・茶・五倍子や広く植物の根・茎・葉・果実などに含まれ、タンニンを加水分解して得られる無色針状の結晶。渋味・収斂(しゅうれん)性があり、還元性が強い。医薬のほかインク・染料・写真現像剤などに用いられる。ぼっしょくしさん。〔現代語大辞典(1932)〕

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化学辞典 第2版の解説

3,4,5-trihydroxybenzoic acid.C7H6O5(170.12).ピロガロール-5-カルボン酸ともいう.茶などの植物の葉,茎,根のなかに遊離の形で広く存在し,またエステル結合物の形で,ある種の植物中に高濃度で含まれている.製法としては,一般にタンニンの加水分解によって得られ,水から再結晶すると一水和物の結晶となって得られる.無水物は融点235~240 ℃ で,融解と同時にピロガロールと二酸化炭素に分解する.熱水,エタノール,アセトンに易溶.アルカリ性水溶液は還元力が強く,空気中からすみやかに酸素を吸収する.写真現像薬,インキや染料の原料に用いられる.この誘導体は,収れん剤や(かっ)血の止血剤として用いられる.[CAS 149-91-7]

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世界大百科事典内の没食子酸の言及

【没食子酸】より

…〈もっしょくしさん〉とも,またガルス酸,3,4,5‐トリオキシ安息香酸ともいう。没食子や五倍子(ふし),植物の葉,茎,根などに広く遊離の状態でも存在するが,普通は没食子酸系タンニンとして存在する。一般にタンニンの加水分解によって得られる。…

※「没食子酸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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