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フェルミ縮退 フェルミシュクタイ

デジタル大辞泉の解説

フェルミ‐しゅくたい【フェルミ縮退】

フェルミ粒子の系が最低のエネルギー状態で示す縮退電子などのフェルミ粒子はパウリの原理により、2個以上の粒子が一つのエネルギーおよびスピンの状態を占めることができない。したがって、その系を構成するすべてのフェルミ粒子がエネルギーの低い順から占有することになる。この状態をフェルミ縮退といい、室温程度の金属中の自由電子、恒星の中心核、白色矮星中性子星などで生じる。

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世界大百科事典 第2版の解説

フェルミしゅくたい【フェルミ縮退 degenerate fermions】

金属中の電子を自由にとびまわれる粒子の集団とみなしたとき,ボルツマン統計力学で記述される古典液体気体とはまったく異なる性質が見られる。この種の特性は,30atm以下1K以下の液体3Heにも現れる。電子も3Heもフェルミ粒子であって,同一の量子状態を2個以上の粒子が占めることはできない。こうして粒子はエネルギーの低い状態から順に占めていくことになる。実は粒子の間に相互作用があるので,占めるべき状態の内容は詳細な理論によってのみ与え得るものであるが,おおざっぱにいって上に述べたようになる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フェルミ縮退
ふぇるみしゅくたい

フェルミ粒子(フェルミオン)がフェルミ‐ディラック統計に従うために低温で生じる状態。スピンが半整数(1/2、3/2、……)であるフェルミ粒子はパウリの原理(排他律)により、同じ量子状態(エネルギーやスピンなど)には一つしか存在できない。低温という状態は個々の粒子の運動エネルギーが低い状態である。たとえば低温では、水が氷(固体)の状態になり、熱が加えられ個々の水分子の運動エネルギーが上昇すると水(液体)の状態になり、さらに熱が加わると水蒸気(気体)になる。同様に、フェルミ粒子の量子状態は、低温の場合、最低の量子状態(基底状態)から順番にぎっしり詰まった状態になる。この状態を縮退しているとよぶ。温度が上ると、いちばん上の量子状態のフェルミ粒子がもっと上の量子状態へ遷移する。金属内の自由電子比熱が、古典的に考えるより小さいことは金属内の自由電子が縮退していると考えられる。また恒星内部の中心核周辺の電子などがこのような縮退を起こしていることから縮退圧として核融合反応に寄与していると考えられている。恒星の進化で、縮退圧と重力がつり合うまで収縮した星を縮退星とよび、電子の縮退圧で支えられている星が白色矮星(わいせい)であり、中性子の縮退圧で支えられている星が中性子星である。[山本将史]

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