翻訳|flare
航空機から発射される火炎弾で、ミサイルからの攻撃を避けるため「おとり」としての役割を果たす。上空に高い熱と煙が広がり、赤外線を感知するミサイルの追尾をかく乱する。外国映画で、戦闘機の機体から火の玉が出るシーンで、その存在が知られる。自衛隊では、航空自衛隊の戦闘機や海上自衛隊の哨戒機に搭載されている。
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太陽面爆発ともいう。太陽の黒点など活動領域の上空の彩層とコロナで起こる爆発現象のこと。太陽をHα線(6563Å)の単色フィルターで見ていると,黒点の付近の明るい領域(羊斑)が突如10分から数時間にわたって輝き出す現象として知られている。フレアの発見は,1859年イギリスのキャリントンR.C.Carrington(1826-75)が黒点の近くに白色光で異常に輝く点を見つけたことによるが,フレアが白色光で見えることはまれである。一般にフレアは可視光よりも電波,X線,紫外線でより顕著に見られ,これらの電磁波の放射量が著しく増大する。また衝撃波を伴ったプラズマ雲や高エネルギー粒子の太陽宇宙線を太陽から放出するたいへんダイナミックな現象でもある。Hα線で観測されるフレアの面積は太陽半球面の10⁻4以下から10⁻3より大きなものまであり,その面積に応じて重要度sub,1,2,3,4に分ける。フレアで放出される全エネルギーは1028~1032ergに達する。フレアの発生は黒点の出現と深い関係があり,黒点活動の最盛期には日に数十個も起こる。最近はあらゆる波長の電磁波の観測によりフレアの発達のようすがくわしく調べられるようになった。それによると初めHα線で見える明るい領域が急激に増大する時期に,波長1Å以下の硬X線とマイクロ波帯の電波領域でバーストと呼ばれる激しい変動を伴った強い放射が起こる。これらのバーストは数分で消滅するが,Hα線で見えるフレアの面積は増大し続け極大に達するころ波長1Å以上の軟X線の強度が最大になり,その後長時間にわたってゆっくり減少する。バーストは10keV以上のエネルギーの電子が急激に作られたことを示し,また軟X線の放射は1000万~3000万Kの高温プラズマが大量に(最大1016g)作られることを示している。大きなフレアでは10MeV以上のγ線や原子核反応によって生ずる核γ線も放射される。これらから数十MeVのエネルギーの電子の加速,1GeVまでのエネルギーの陽子の加速が瞬時にして起きるという証拠が見つかっている。
Hα線で見える彩層のフレアの構造は磁場の極性が互いに異なる2本の平行な明るい筋からなる。軟X線で見るとフレアは太陽面からコロナにつき出た明るい半弧状のループの形をしている。このループは太陽面に両極を有する湾曲した磁力線のチューブを表している。軟X線を放射する高温のプラズマがこのループの中に閉じこめられており,それからの熱流がループの両端の彩層に達し,彩層を1万Kに加熱してHα線を放射することが知られている。また〈ひのとり〉とSMM両衛星の観測によりループの両端やループの頂上から硬X線が放射されることがわかった。フレアの成因と過程については,次のように考えられている。太陽の内部の対流層で強い磁場が生まれるとき,対流などの運動により磁場チューブはねじれて磁場中を流れる強い電流が生ずる。磁場チューブの一部には浮力が働き,もち上げられて湾曲し,太陽面に顔を出しさらに浮上してコロナに半弧状の磁場チューブが出現する。コロナは低密度であるため,太陽内部から運び出された磁場中の電流は不安定になり,急激に電流のエネルギーが高エネルギーの粒子やプラズマの熱に変換される現象がフレアである。そのとき作られた高エネルギーの電子は半弧状のループの太陽表面近くの両端(彩層)に流れこみ,そこの高密度のプラズマと衝突して硬X線を放射する。またコロナからのエネルギーの流入により彩層は急激に1000万K以上に加熱されて蒸発し,大量の高温プラズマがループの中を満たし軟X線を放射する。このようにフレアは磁場に蓄えられたエネルギーが突然粒子や熱のエネルギーに転化する現象と考えられている。初めにエネルギーが転化する機構については異常ジュール発熱などが考えられるが,まだよくわかっていない。フレアのエネルギー発生場所からは衝撃波やプラズマ雲が放出され,電波バーストや白色光で見られるコロナトランジェント,さらに惑星間衝撃波として観測される。地球の電離層では紫外線増加によるじょう乱が起こり,デリンジャー現象などの電波伝播(でんぱ)の障害,地磁気じょう乱も引き起こされる。他の天体の活動現象の中にもフレアに似たX線などの放射を起こすものが数多く知られており,フレアと同じような機構の爆発がもっと大規模に起きていることがうかがわれる。太陽フレアと似た爆発を頻繁に起こしている質量の小さな低温の恒星は,フレア星として知られている。
執筆者:田中 捷雄
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太陽コロナ中でおこる爆発現象。爆発のエネルギーは磁場のエネルギーによると考えられている。コロナ中に伸びている磁力線は複雑に絡み合い、向きが異なる2本の磁力線がぶつかって磁力線のつなぎ替えがおこり(磁場の再結合)、そのとき発生した磁場のエネルギーがコロナプラズマを数千万℃に加熱したり、イオンや電子を光速近くまで加速させる。放出されるエネルギー量は10の20乗~25乗ジュール(全人類が現在使用しているエネルギー量の1年~10万年相当)である。フレアが発生すると高エネルギーの放射線や強いX線、紫外線、太陽風が惑星間空間に放出され、科学衛星の機器に障害を与えたり、宇宙空間での船外活動の障害となる。これらのX線、紫外線は地球大気にも影響を与えて、電離層を乱してデリンジャー現象(短波電波の通信障害)をおこす。また、太陽風が地球に到達すると、オーロラを発生させたりする。フレアの発生は複雑な磁場領域で発生することはわかっているが、まだその予報は完成していない。なお、太陽以外の恒星の観測が進むうちに、表面爆発は他の恒星でもおきていることがわかり、それら全般をフレアとよぶようになった。そこで太陽のフレアを太陽フレアとよんで区別することもある。
[日江井榮二郎]
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…地磁気変動のうち汎世界的に起こる最も大きな変動で,継続時間1~2日の現象。太陽フレア(フレア)の発生から2~3日後に起こることが多い。フレアに伴って惑星間空間に放出された高速プラズマ流に磁気圏が包まれると起こる現象である。…
…おおまかにいうと,彩層の温度は下から上へ,5000Kから8000Kへと上昇し,圧力は1万分の1atmから100万分の1atmへと減少する。 彩層に現れるもっとも劇的な現象はフレアである。典型的な例では,単色像で見ていると,プラージュの一部が数個の斑点状に,見る見るうちに非常に明るくなり,点がつながって2本の紐状になり,紐の間隔が広がり,やがてゆっくりと数十分かかって明るさが元に復する。…
…波長をさらに長くするとコロナが惑星間空間に浸透する領域が観測される。 太陽の電波は,ほぼ一定の強さで放射しつづける定常的な成分と,フレアに伴って突発的に放射する成分とがある。前者を静かな太陽の電波,後者をバーストと呼ぶ。…
※「フレア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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