磁界(磁場)の中で電流が受ける力の向きを表す法則(フレミング左手の法則、誘導起電力または誘導電流の向きを表す法則(フレミング右手の法則、 )がある。手の指を使って直観的に表すもので、イギリスの電気工学者J・A・フレミングが考案したためこのようによばれる。
)と、磁界の中で導線を動かすとき、[山口重雄]
左手の親指、人差し指、中指を互いに直角にする。磁界Bは人差し指の向き、電流Iの向きは中指の向きとすると、この電流が磁界から受ける力Fの向きは親指の向きであるというもの。
[山口重雄]
右手の親指、人差し指、中指を互いに直角にする。人差し指を磁界Bの向き、親指を導線を動かす向きVとすると、導線の中に流れる誘導電流の向きIは中指の向きであるというもの。
電荷が磁界Bの中で運動すると、その速さVに比例する力Fを受ける。その向きは速度Vと磁界Bが定める面に垂直で、右ねじをこの向きに置き速度より磁界の向きに回したとき右ねじが進む向きである。この力をローレンツの力( )という。フレミングの法則はこのローレンツ力から導かれるもので、磁界と速度のなす角が直角な特別の場合になっている。
フレミングの法則は、ローレンツの力の関係を現場の電気技術者にも理解しやすいように表現し直したものである。
[山口重雄]
電流がそれに垂直な磁場によって受ける力の向きや,磁場中で磁場に垂直におかれた導線が磁場と垂直に運動するとき導線内に生ずる誘導起電力の向きを示す法則。前者については左手が用いられ(左手の法則という),電流の向きに中指を向け,磁場の向きに人差指を向けると親指が力の向きに向いている。後者については右手が用いられ(右手の法則という),磁場の方向に人差指を向け,導線の運動の向きに親指を向けると,中指の方向に電流が流れるような誘導起電力を生ずる。いずれの法則もJ.A.フレミングによって明らかにされたものであるが,最近では電流のまわりに生ずる磁場の向きが,右ねじの法則(磁場の向きは,電流の方向に右ねじを進めるとき,その右ねじの回転する方向になる)に従うことだけを基本にして,次のように記憶することがふつうになっている。すなわち,電流が磁場から受ける力は,電流によって生ずる磁場が外部磁場と平行な側から反平行な側へ向かう方向である。また誘導起電力の向きは,動く導線の中に正電荷を考え,これが運動するために生ずる電流が磁場から受ける力の方向に起電力が生ずる。この考えはマクスウェルの応力によって,電磁力が生ずるという物理的な考え方に基づいている。
執筆者:近角 聡信
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