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ブラック・ユーモア ブラック・ユーモアblack humour

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ブラック・ユーモア
black humour

人間の不条理な存在を笑い飛ばそうとする,グロテスクで絶望的なユーモア。その風刺的で苦いユーモアの歴史は,古代ギリシアのアリストファネスの喜劇やルネサンス期の悪者小説,ラブレーセルバンテス,18世紀のスウィフトボルテールから現代まで続いている。現代では,フランスのセリーヌ,ベケット,イギリスの E.ウォー,アメリカのナボコフらのいくつかの作品がその代表的なものであるが,ことに 1960年代以降のアメリカに,「ブラック・ユーモア派」と呼ばれる作家が輩出した。 30年代に活躍した N.ウェストあたりがその先駆とされ,J.パーディ,J.ヘラー,T.サザン,J.ホークス,J. P.ドンレビー,J.バース,B. J.フリードマン,D.バーセルミ,K.キージー,T.ピンチョンらがその代表。 50年代に行きづまったリアリズム的手法を打ち破るための一つの方法と考えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ブラック・ユーモア
ぶらっくゆーもあ
black humorアメリカ英語
humour noirフランス語

世界の不条理を強調する残酷でグロテスクなユーモアをいい、とくに文学上の系譜、ジャンル、現象について用いられる。1940年にA・ブルトンが『黒いユーモア選集』を編み、フロイトを援用して、苦悩を強いられた自我の復讐(ふくしゅう)と精神の解放を強調した。広く知られるのは60年代で、フランスではビアンの復活、トポールRoland Topor(1937?― )の登場をみた。アメリカではフリードマン編『ブラック・ユーモア』(1965)がきっかけで、フリードマンのほか、ヘラー、サザン、ボネガット、W・S・バローズ、ピンチョン、バースら、60年代作家のほとんどがこの関連で語られた。人生をジョークとみる彼らの文学は、多様化、断片化、非人間化が進み、事実と虚構との区別がむずかしいアメリカ社会の状況を映すものであり、絶望からの笑いが、最後に世界の受容を試みているといえよう。[北山克彦]
『『ブラック・ユーモア選集』全6巻(1970~71・早川書房)』

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