ブーゲンビル島(読み)ブーゲンビルトウ(その他表記)Bougainville Island

デジタル大辞泉 「ブーゲンビル島」の意味・読み・例文・類語

ブーゲンビル‐とう〔‐タウ〕【ブーゲンビル島】

Bougainville Islandパプアニューギニア東部の島。地理的にはソロモン諸島に属す。中心地は南東部のアラワココアココヤシや銅を産出。第二次大戦中、日本軍が占領連合軍との激戦地になった。名称は、フランスの航海者L=A=ブーゲンビル(1729~1811)にちなむ。

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精選版 日本国語大辞典 「ブーゲンビル島」の意味・読み・例文・類語

ブーゲンビル‐とう‥タウ【ブーゲンビル島】

  1. ( ブーゲンビルはBougainville ) 西南太平洋のソロモン諸島最大の島。パプアニューギニア領。一七六八年フランス人ブーゲンビルが来航。一八九四年ドイツ領、一九二〇年オーストラリアの委任統治領となり、パプアニューギニア領を経て、現在はソロモン諸島領。鉱物資源が豊富。中心都市アラワ。

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改訂新版 世界大百科事典 「ブーゲンビル島」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル[島]
Bougainville Island

パプア・ニューギニア領の北ソロモン管区にある島。南西太平洋のソロモン諸島北西端に位置する。面積約9900km2人口17万5000(周辺の島を含む。2000)。東岸に同管区の主都アラワArawaがある。火山島で,バルビ山(2743m。島の最高峰)とバガナ山(1999m)の二つの活火山をもつ。1768年に,フランス人ブーゲンビルが〈発見〉した。自然地理的,また文化的に島はソロモン諸島に属するが,同諸島の中・南部の島々がイギリス領を経てソロモン諸島国として独立したのに対し,同島はドイツ領であったため,オーストラリア信託統治領を経て現在にいたっている。パプア・ニューギニアが1975年に独立する直前,島民は分離独立を主張したが,島の豊富な鉱物資源,とくに銅をめぐる利益がからまってその主張は受け入れられなかった。88年以降,島の分離独立を求めるブーゲンビル革命軍の武装闘争が激化したが,98年停戦協定を経て,2001年和平協定が成立した。

 銅は島の南部,内陸パングナで1972年から本格的に産出され始めた。主都アラワは銅山会社と政府によって建設された海岸の銅鉱採掘基地である。パングナの銅鉱はパイプを通して海岸のロロホに送られ,精選鉱としてそこから日本,ドイツ,スペインなどに輸出された。しかし,その生産開始以来パプア・ニューギニアの経済を支えてきたこの鉱山で89年,この地域の土地所有権を主張する現地人の暴動が発生した。
執筆者:

おそらく第三紀中新世の安山岩質の噴出岩の中に貫入したセン緑岩,花コウセン緑岩を母岩とする細脈状の斑岩銅鉱床で,銅0.40%,金0.46g/t,銀1.5g/tの鉱石7億tの存在が見込まれている。操業が順調に行われていたころの生産量は日産13万t(銅0.46%,金0.56g/t,銀1.44g/t)で,2km×2.6kmの楕円形の露天採掘場で採掘されていた。剝土比(廃石の量対鉱石の量)は0.7と低く,生産にはきわめて有利であるが,熱帯降雨林帯にあるため雨が多く,その対策に苦労していた。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブーゲンビル島」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル島
ブーゲンビルとう
Bougainville Island

パプアニューギニア東端の島。自然地理的,文化的にはソロモン諸島に属するが,行政的にはブカ島などとともにブーゲンビル州を構成。地形は山岳性で,最高点はバルビ山(2743m)。中央部に鉱山町パングナ,海岸にアラワがある。1768年,島名の由来となるルイ=アントアーヌ・ド・ブーゲンビルが訪問。1898年ドイツ領。1914年オーストラリア軍が占領,1920年オーストラリアの委任統治領。1942年初めに日本軍が占領したが,1944年3月にアメリカ軍が実質的に島を征圧。第2次世界大戦後,国際連合信託統治領ニューギニアの一部として再びオーストラリアの統治下に入る(→ニューギニア史)。1975年のパプアニューギニア独立に伴いパプアニューギニア領となり,北ソロモン州を構成した。1997年ブーゲンビル州に改称。パングナ銅山の収益分配に対する不満から,1980年代後半に分離独立の機運が高まった。1988年の暴動により,銅山は翌 1989年閉鎖に追い込まれた。その後内戦となり 1990年代末までに 1万5000人もの死者が出た。2001年,政府軍と革命軍との間でブーゲンビル島および近隣諸島の自治を認める和平協定が結ばれた。2004年に新憲法が制定され,2005年選挙を実施し,同年 6月にブカ島に首都を置く新たな自治政府が発足した。世界最大の露天掘り銅山のひとつであるパングナ銅山は,1972年に操業開始,1980年代初めにはパプアニューギニアの総輸出収益の半分以上を占めた。自治政府は 2005年,パングナ銅山の操業再開を決定した。熱帯自給作物のほか,東海岸を中心に周囲の海岸地帯でココヤシ,カカオを栽培。面積 9300km2。人口 17万5160(2000)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーゲンビル島」の意味・わかりやすい解説

ブーゲンビル島
ぶーげんびるとう
Bougainville Island

パプア・ニューギニア東端の島。自然地理的にはソロモン諸島の一部。面積8500平方キロメートル。行政上は、ブカ島とともに北ソロモン(面積9300平方キロメートル。人口17万5160、2000)を構成する。中心都市はアラワ、中心港はキエタ。伝統的作物としてサツマイモ、タロイモ、商品作物としてココア、ココヤシが栽培される。ココア生産量は全国の4割余りを占める。1963年、埋蔵量8億トン(品位0.45%)の銅鉱床が発見され、72年に採掘を開始した。年産約20万トン(含有金属量)。この銅資源を背景に分離独立運動もあったが、自治強化を条件に妥協が成立し、76年北ソロモン自治政府が生まれた。

 島名は、1768年に来航したフランス人航海者ブーゲンビルに由来する。1899年にドイツ領となったが、1914年、第一次世界大戦でオーストラリアが占領し、20年に同国が領有した(委任統治領)。第二次世界大戦中の42年に日本軍が占領、航空基地となり、海空戦の激戦地となった。43年連合艦隊司令長官山本五十六(いそろく)の搭乗機がこの島上空でアメリカ機に撃墜された。

[谷内 達]

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