プロコンスル(英語表記)Proconsul

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

プロコンスル
Proconsul

1933年以来 A.ホップウッド,L.リーキーらによって,ケニアのルージンガ島から発見された一群の化石類人猿。プロコンスル・アフリカヌス P. africanus,プロコンスル・ニアンザエ P. nyanzae,プロコンスル・マジョール P. majorの3種に分類されており,E.サイモンズらはドリオピテクス属の一亜属とする。総じてチンパンジーと似ており樹上生活をしていたらしい。口は前方へ突出するが犬歯はあまり大きくなく,眼窩上隆起も発達しない。時代は中新世前期から中期とされる。

プロコンスル
proconsul

古代ローマの官職名。執政官 (コンスル ) がその任期を過ぎてのち,なお執政官としてその権能を行使することを許された者。既存の官職以外の官職を新設することを避けるため考案された。共和政末期には法務官 (プラエトル ) ,プロプラエトルと並んで属州を統治し,特に執政官職を経験していない私人も任命された。元首政 (プリンキパツス ) 期に入るや,元老院管轄属州の総督を意味するにいたった。アウグスツス (在位前 27~後 14) 以後の皇帝はその権能の重要な部分としてこのプロコンスル職権を保持した。

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世界大百科事典 第2版の解説

プロコンスル【proconsul】

古代ローマのコンスル(執政官)代理。前4世紀末以降,外征中のコンスルに任期満了後も命令権の一時的保持を許すことがあり,現任コンスルの代理とみなした。公職を欠き,命令権のみを得る特例はプラエトルにも生じ,後に属州総督に正規公職者と同一任期(1年間)のプロコンスル,プロプラエトルを任じるに至って両者の命令権は一時的な代理権限の域を脱し,任地統治のための独立の権限になった。この任地でのプロコンスル命令権を地中海全域にわたる非常大権に拡張したのがポンペイウスである(前67)。

プロコンスル【Proconsul】

化石類人猿のドリオピテクス属のうちで,最もよく知られた亜属。標式資料はA.T.ホップウッドにより記載された。多数の歯や顎骨片のほかに,3個の頭骨(うち1個体は上肢骨を伴う),多数の四肢骨が発見されている。一般にドリオピテクス・アフリカヌス,ドリオピテクス・ニャンゼ,ドリオピテクス・マジョールの3種に分類され,いずれもケニア,ウガンダの中新世中期初頭の地層から出土した。形態学的にアフリカヌスは現存のチンパンジーに,マジョールはゴリラに類似する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

プロコンスル
ぷろこんする
Proconsul

化石類人猿の一族。1930年代以降、東アフリカのケニアやウガンダの第三紀中新世の地層から頭骨や多数の歯、顎骨(がくこつ)片、四肢骨が出土しているが、これらはゴリラやチンパンジーの祖先とみなされた。当時、ロンドン動物園にコンスル(領事)という名の人気者のチンパンジーがいたが、それにちなみ、プロコンスルという属名が与えられた。これらはアフリカヌスP. africanus、ニアンゼP. nyanzaeおよびマジョールP. majorの3種に分けられる。いずれも現生類人猿程度の大きさであったが、眼窩(がんか)上隆起は弱く、腕渡りも下手であったと考えられる。最近はドリオピテクスのなかに統合され、そのなかの亜属を形成するものと考えられている。[香原志勢]

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世界大百科事典内のプロコンスルの言及

【インペラトル】より

…そのため共和政期末の超国法的強権取得者,スラ,ポンペイウス,カエサル等が好んでこの称号を名乗った。アウグストゥスはインペラトルをプロコンスル命令権(軍指揮権)取得者と見なし,これを自らの個人名に組み入れたが,ウェスパシアヌス以降その先例が定着してインペラトルは皇帝をさす公称になった。この場合,常に決定的なのは〈おおインペラトル〉という元老院での斉唱,後には兵士の歓呼で,そのため3世紀には帝国各地の軍団兵士の喚声が皇帝併立の事態を生んだ(軍人皇帝時代)。…

【インペリウム】より

…また諸プラエトルの命令権は事実上,裁判ないし属州統治の職務に限定されるので,コンスル命令権より下級とされた。後に国法上は非公職者のプロコンスル,プロプラエトルも属州総督に任じられ,公職から分離した命令権が国制に定着し,やがて帝政への道を開いた。全属州に及ぶ上級プロコンスル命令権の取得と属州軍の掌握がアウグストゥス以下,元首の権力基盤をなしたからである。…

【コンスル】より

…帝政期には元首が自らコンスル職に就き,また就任予定者を指名したが,当のコンスルは元老院開催以外の重要権限を失い,名誉職化した。それでも制度上コンスルは,プロコンスル(コンスル代理)命令権を持つ元首の上級者なので,紀年の定式に長く名をとどめた。543年に最後の存在が知られる。…

【霊長類】より

…中新世から鮮新世にかけては高等霊長類の適応放散の時代で,コロンビアの中新世の地層からはホムンクルスHomunculusなど新世界ザルの化石資料が増え,ヨーロッパからアフリカにかけてはドリコピテクスDolichopithecus,メソピテクスMesopithecusなどのオナガザル科の化石が知られている。また,ヨーロッパではテナガザルの祖型と考えられているプリオピテクスPliopithecusが,イタリアからはオレオピテクスOreopithecusの完全な化石が発見されているし,プロコンスルProconsul,ドリオピテクスDryopithecus,ラマピテクスRamapithecus,ギガントピテクスGigantopithecusなどの現生類人猿やヒトに近縁な化石がアフロ・ユーラシア各地で発見されている。そして鮮新世後半のアウストラロピテクスAustralopithecus,さらに洪積世の原人ホモ・エレクトゥスHomo erectusへとつながっていくのである。…

【人類】より

…ラマピテクスがヒト科の一属とされた根拠は,小さな切歯と犬歯,小臼歯,大臼歯のヒト的な歯冠形態,放物線状の歯列や浅い口蓋,短く直立した顔などであった。また現生大型類人猿の先祖と目されるプロコンスルの化石が中新世の初めにすでに出現していること,彼らの発育期間が長かったという大臼歯の磨滅度からの推定なども,ラマピテクスをヒト科に入れる間接的証拠とされている。1400万年前のラマピテクスがヒト科の一員だとすれば,人類が大型類人猿との共通先祖から分かれたのは,おそらく2000万年前の昔にさかのぼるが,これにたいして,ラマピテクスをオランウータン科に入れたり,独立した科とみて,ヒト科とオランウータン科の分岐年代を新しくみる人たちがいる。…

【霊長類】より

…中新世から鮮新世にかけては高等霊長類の適応放散の時代で,コロンビアの中新世の地層からはホムンクルスHomunculusなど新世界ザルの化石資料が増え,ヨーロッパからアフリカにかけてはドリコピテクスDolichopithecus,メソピテクスMesopithecusなどのオナガザル科の化石が知られている。また,ヨーロッパではテナガザルの祖型と考えられているプリオピテクスPliopithecusが,イタリアからはオレオピテクスOreopithecusの完全な化石が発見されているし,プロコンスルProconsul,ドリオピテクスDryopithecus,ラマピテクスRamapithecus,ギガントピテクスGigantopithecusなどの現生類人猿やヒトに近縁な化石がアフロ・ユーラシア各地で発見されている。そして鮮新世後半のアウストラロピテクスAustralopithecus,さらに洪積世の原人ホモ・エレクトゥスHomo erectusへとつながっていくのである。…

※「プロコンスル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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