改訂新版 世界大百科事典 「プロコンスル」の意味・わかりやすい解説
プロコンスル
proconsul
古代ローマのコンスル(執政官)代理。前4世紀末以降,外征中のコンスルに任期満了後も命令権の一時的保持を許すことがあり,現任コンスルの代理とみなした。公職を欠き,命令権のみを得る特例はプラエトルにも生じ,後に属州総督に正規公職者と同一任期(1年間)のプロコンスル,プロプラエトルを任じるに至って両者の命令権は一時的な代理権限の域を脱し,任地統治のための独立の権限になった。この任地でのプロコンスル命令権を地中海全域にわたる非常大権に拡張したのがポンペイウスである(前67)。彼は海賊征討の任務終了後,全権を返上したが,前23年,アウグストゥスは終身の上級プロコンスル命令権を取得し,元老院所管属州の総督(プロコンスル,プロプラエトル)を監督し,元首所管属州へプロプラエトル命令権をもつ元首代行(レガトゥスlegatus)を送り,全属州を掌握した。公職から分離した命令権は元首政への道を開いたのである。
執筆者:鈴木 一州
プロコンスル
Proconsul
ケニアとウガンダから発見されている2000~1800万年前の化石類人猿。A.ホプウッドが1933年に創設した。当時,ロンドン動物園でサーカスをしていたチンパンジー〈コンスル〉にちなんでいる(pro=前)。5種が知られているが,最大のマイヨル種プロコンスル・マイヨルP.majorを,別属ウガンダピテクスUgandapithecusとして扱う意見もある。体の大きさは,種によって異なり,ヒヒ程度から雌ゴリラ程度までとなる。最も多くの資料が知られているアフリカ化石類人猿である。長い腰部,幅の狭い胸郭など多くの原始狭鼻猿的特徴を維持しているが,尻尾を失っており,尾椎とその周囲の解剖学的特徴からヒト上科に含まれることは間違いなく,尻ダコをもたないことから,テナガザルの分岐以後に位置する可能性が高い。現生大型類人猿ほどではないが,大脳化傾向も認められる。果実を主体にした食性だったと考えられている。
執筆者:中務 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報