モンゴルの白亜紀後期、約8465万年~7705万年前の地層から産出した四本肢(あし)の小形恐竜。分類学上は鳥盤目周飾頭(しゅうしょくとう)類(亜目)角竜類(つのりゅうるい)(下目)ネオケラトプス類(新角竜類)に属する。全長約2メートル。鼻の前部は鉤(かぎ)状のオウムのようなくちばしとなっており、草をかみ切るためのものであったと思われる。鼻の上にはまだ角といえないような突起があった。属名は、「最初の角をもった顔」という意味のギリシア語である。生まれたばかりの幼体から十分に成長した成体までの多数の骨格が発見されている。その数は、いままでに100体以上といわれる。世界で最初に確認された恐竜の卵はプロトケラトプスのものであると思われていたが、1990年代になって、そのほとんどがオビラプトルOviraptorのものと判明した。またプロトケラトプスとベロキラプトルVelociraptorが取っ組み合ったまま化石となった標本も発掘されている。この格闘化石のレプリカ(模造品)は、群馬県神流(かんな)町の恐竜センターと福井県勝山(かつやま)市の恐竜博物館に展示されている。
[小畠郁生]
『ヘザー・アメリー文、トニー・ギボンズ絵、富田京一訳『プロトケラトプス』(1994・ほるぷ出版)』
爬虫綱鳥盤目の角竜亜目の1属。角竜類は恐竜類の中でいちばん最後に出現し,頭部の角が発達した一群であるが,この属はその根幹にくる重要属である。体長約2mで四足歩行性。口は鳥のくちばし状となる。頭骨の斜め後方へ広がるひだ飾りがみられるが,これは体の保護と強い頸筋群の付着面となった。あごは強く,歯は植物質を強く切るはたらきをするような機構がみられる。この恐竜は1924年にアメリカ自然史博物館の中央アジア探検隊によって発見された。100体をこえる骨格と卵からこの恐竜の発育過程がわかり,かつ,恐竜が卵を産むことが証明された最初のものである。卵は径十数cmの長楕円形で,一端がより太い石灰質の卵殻である。巣の中に同心円状に産みつけられ,砂がかぶせられた。角竜類はその祖型がプシッタコサウルスPsittacosaurusにみられ,その子孫はトリケラトプスに連なる。北アメリカを中心に多様化したが,モンゴルや中国からも知られ,時代は白亜紀後期に属する。
→角竜
執筆者:長谷川 善和
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… アジアでは,中国東北部アムール川沿岸より発見されたマンチュロサウルスMandschurosaurus(リアビーニンA.N.Riabinin,1925)にはじまる。本格的な調査はアメリカ自然史博物館が人類起源の研究のために送り出した調査隊が,中央アジアのゴビ砂漠でプロトケラトプスProtoceratopsや恐竜の卵を発見してからである。アメリカ隊(3回)の次はソビエト隊,ポーランド隊などが次々と発掘を行い,現在では中国の新疆ウイグル地区と並んで重要な恐竜産地となっている。…
… アジアでは,中国東北部アムール川沿岸より発見されたマンチュロサウルスMandschurosaurus(リアビーニンA.N.Riabinin,1925)にはじまる。本格的な調査はアメリカ自然史博物館が人類起源の研究のために送り出した調査隊が,中央アジアのゴビ砂漠でプロトケラトプスProtoceratopsや恐竜の卵を発見してからである。アメリカ隊(3回)の次はソビエト隊,ポーランド隊などが次々と発掘を行い,現在では中国の新疆ウイグル地区と並んで重要な恐竜産地となっている。…
※「プロトケラトプス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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