日本大百科全書(ニッポニカ) 「レプリカ」の意味・わかりやすい解説
レプリカ
れぷりか
replica
語源はイタリア語で繰り返しの意。美術用語から転じて模写画、複製、模造品の英語に転じたと考えられる。一般的に絵画、写真、文書のような平面的なものの複製はコピーcopyとよばれ、レプリカという場合は、彫刻、建造物、記念碑、機械、道具など立体的なものの複製をよぶ。製作者(原作者)が同じ物を複製製作した場合はレプリカとはいわず、オリジナル作品のバリエーションvariation(変形)または別バージョンversionとよばれ、オリジナル作品と同等の価値を生ずる。レプリカの製作動機は原作者とは別の他者が異なった用途に使う場合が多く、たとえば建造物を別の場所にまったく同じに建てるとか、機械の性能をさらに強化するためにつくるといった場合などで、コピーに比べ実験台、偽物、まやかし物といったあまり良くないイメージを伴う。さらに材質、寸法を変える必要が多々生じ、その縮小したものはレプリカといわずミニチュアminiatureとよばれる。またオリジナルが未完と判断された場合や、製作年代がかなり古く色彩などがはっきりわからなかったものがのちに科学の力などで判定できた場合などもレプリカではあるが、日本では復元とよばれるのが通常である。
[畑 暉男]