ヘロット(その他表記)heilōtes; helots

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘロット」の意味・わかりやすい解説

ヘロット
heilōtes; helots

ギリシア語ではヘイロタイ。古代ギリシア,スパルタにおける奴隷身分の者をさす言葉。おそらくはラコニアの被征服先住民から成っており,のちにはメッセニア人も征服されてこの身分におとしめられた。彼らは国家共同体の農業奴隷として市民間に割当てられ,主人の土地を耕して一定の年貢を納めた。戦時には主人につき従って,軽装兵や船の漕手として働かされ,参政権は一切なく,恐怖支配のもとにおかれていた。スパルタ人は,数のうえで圧倒的に優勢な彼らの反乱の危険に常にさらされ,彼らの統治掌握に苦慮し,毎年エフォロスは任につく際,ヘロットに戦争を宣した。メッセニアでは前 369年にテーベが,ラコニアではナビス王が彼らを解放した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヘロット」の解説

ヘロット
heilotai[ギリシア],helots[英]

スパルタ人の世襲地を耕作した奴隷身分の農民。生産物の一部を主人たる市民に納め,家族を持っていたので経済的には隷農に等しかった。スパルタ人は勝手にその年貢を変更したり,解放したりすることは許されず,国家的に規制があったので「共同体の奴隷」と称された。彼らは系譜的にはドーリア人に征服された先住民の子孫であった。スパルタ人は数的に優勢なヘロットの抑圧を怠らなかったが,彼らは時に反乱を起こした。たびたびの国家による解放などにより,ヘレニズム時代のうちにこの身分は消滅した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ヘロット」の解説

ヘロット
helots

古代ギリシアのスパルタの国有奴隷。ギリシア語ではヘイロータイ(heilotai)
スパルタ人に征服された先住のギリシア人で,スパルタ市民のクレーロス(所有地)の耕作に従事。スパルタ社会はヘロットらの服従の上に成立したもので,少数のスパルティアタイが多数のへロットを支配するために軍国主義を採用した。

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