ベスブ石
べすぶせき
vesuvianite
idocrase
正方柱状ないし正方複錐(ふくすい)状の結晶をするほか、粒状ないし塊状の鉱物。塊状の場合、ざくろ石と肉眼的に区別しがたい。スカルン鉱物の一つとしてよく産し、灰礬(かいばん)ざくろ石、透輝石、珪灰(けいかい)石、透閃(とうせん)石、柱石などと共生する。また、超塩基性岩中に脈状ないし塊状で産したり、その中に含まれるロジン岩を構成する鉱物としてもよくみられる。一般にアルミニウムやマグネシウムに富むものは淡色で、鉄に富むものは濃色となる。カリフォルニアひすいとよばれるものは、ベスブ石の微細結晶が緻密(ちみつ)に集合した緑色の塊である。日本のおもな産地は埼玉県秩父(ちちぶ)鉱山、大分県木浦鉱山などである。英名の一つvesuvianiteは、この鉱物がイタリアのベスビアス火山の火山弾塊中に発見されたことにちなみ、もう一つの英名のidocraseはギリシア語の「形態と混じる」ということばからきていて、ベスブ石が他の鉱物の結晶と形が混じっているようにみえるところから命名された。
[松原 聰]
ベスブ石(データノート)
べすぶせきでーたのーと
ベスブ石
英名 vesuvianite,idocrase
化学式 Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4
(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10
(Si2O7)4
少量成分 B
結晶系 正方
硬度 6~7
比重 3.3~3.5
色 淡褐,淡緑,淡黄,褐,緑
光沢 ガラス
条痕 白
劈開 無
(「劈開」の項目を参照)
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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ベスブせき
ベスブ石
vesuvianite
化学組成Ca19(Al, Mg, Fe)13(SiO4)10(Si2O7)4(O, OH, F)10の鉱物。ベスブ石族の一種。正方晶系,空間群P4/nnc,格子定数a1.5561nm, c1.1777,単位格子中2分子含む。四角柱状,錐状結晶,粒状。ガラス光沢。劈開{110}不明瞭。硬度6〜7,比重3.3〜3.5。白・灰・赤褐・緑色,条痕白色。一軸性負,屈折率ε1.698〜1.746, ω1.702〜1.752。しばしば異常干渉色を示す。粒状のものは灰ばんざくろ石に酷似。複雑な組成変化があり,いくつもの種類に細分化された。例えば,F > OHのものはfluorvesuvianite(空間群P4/nnc),(Al, Mg, Fe)13の部分がAl(Al, Mg)12のものはalumovesuvianite(空間群P4/n),Cu2+(Al, Mg, Mn)12のものはcyprine(空間群P4/n),Mg(Al, Mg)12のものはmagnesiovesuvianite(空間群P4/n),Mn3+(Al, Mn3+, Fe3+)10(Mg, Mn2+)2のものはmanganvesuvianite(空間群P4/n)などとされる。ほかにも希土類元素やホウ素を含むものがある。スカルン,超苦鉄質岩,アルカリ深成岩ペグマタイト,火山岩中の石灰質捕獲岩中に産出。特にスカルン中には灰ばんざくろ石・透輝石・緑れん石・方解石などに伴ってふつうに産出。名称は,ベスビオ火山の噴出物(石灰質捕獲岩)中の発見にちなむ。
執筆者:松原 聰
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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ベスブ石
ベスブせき
vesuvianite
正方晶系の鉱物。 Ca10(Mg,Fe)2Al4Si9O34(OH,F)4 。比重 3.33~3.43 ,硬度 6~7 。黄,緑,褐色などを呈する。石灰岩,ドロマイトなどが接触交代変成作用を受けて生じたスカルン中に産出するほか,霞石閃長岩や超塩基性岩中にも産出することがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のベスブ石の言及
※「ベスブ石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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