ベントリー(Edmund Clerihew Bentley)(読み)べんとりー(英語表記)Edmund Clerihew Bentley

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ベントリー(Edmund Clerihew Bentley)
べんとりー
Edmund Clerihew Bentley
(1875―1956)

イギリスのジャーナリスト、ユーモア詩人、推理作家。ジャーナリストとして多才な執筆活動を続けるかたわら、政治風刺詩を『パンチ』誌などに寄稿し、人物名を頭に織り込んだ四行詩クレリヒュー(彼のセカンド・ネーム)を考案した。五行戯詩で有名なリメリックに比すべき詩の形体である。1913年、それまでの毒々しく通俗的な推理小説に対する軽い批判を込めて『トレント最後の事件』を発表し、近代推理小説の里程標となった。落ち着いて品よく、的確に人間の感情と性格が描写され、そのなかに推理小説の意外性が豊富に伏せられている。その23年後にもう一つの長編『トレント自身の推理』(1936)をハーバート・ワーナー・アレンHerbert Waner Allenと共作したが、そのほかは数少ない短編しか残されていない。

[梶 龍雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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