ぼうふう

普及版 字通 「ぼうふう」の読み・字形・画数・意味

風】ぼう(ばう)ふう

疾風。〔新論、託附〕鷦鷯(せうれう)(みそさざい)(あし)のつくる。~固しと謂ふべし。然れども(たちま)ち至れば、則ち折れ、卵破るるは何ぞや。託するにして、之れをして然らしむるなり。

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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ぼうふう」の意味・わかりやすい解説

ボウフウ
ぼうふう / 防風
[学] Saposhnikovia divaricata (Turcz.) Schischk.
Ledebouriella seseloides Wolff

セリ科(APG分類:セリ科)の多年草。中国の東北部、華北、内モンゴル、シベリア、朝鮮半島の草原または石の多い山地に分布する。茎は直立し、高さ30~80センチメートルで数回叉(さ)状に分枝し、先に複散形花序をつける。根生葉には長い柄がある。葉身は卵形で2~3回羽状に深裂し、裂片は細長く、先はとがる。茎葉は小さい。花柄は5~7個で長さは不ぞろいで総包片を欠く。小花柄は4~9個で数個の小総包をもつ。8月から9月にかけて開花し、花弁は5個、白色で内側に巻いている。雄蕊(ゆうずい)(雄しべ)5個、雌蕊雌しべ)1個で子房下位。果実は円形で各分果に5個の肥厚した肋条(ろくじょう)があり、果面に小突起を密生する。根は垂直に伸びて硬い。

 ボウフウの根を漢方では防風といい、発汗解熱鎮痛、鎮けい、利尿剤として、感冒や頭痛、関節痛、手足のけいれん破傷風などの治療に用いる。生薬(しょうやく)では、根頭部に葉柄の基部が黄褐色の繊維状となって残っている。この形から日本では筆(ふで)防風と称して、類似品と区別している。また、中国東北部のものは品質がよいうえ、産額も多いことから、とくに関(かん)防風とよばれ、他とは区別される。

 日本ではハマボウフウGlehnia littoralis Fr.Schm.の根を防風の代用にするが、これは誤りである。ハマボウフウの根もまっすぐな長い形であるが、外面が黄赤色なので容易に区別できる。なお、ハマボウフウは食用にもするのでヤオヤボウフウともよばれる。

[長沢元夫 2021年12月14日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ぼうふう」の意味・わかりやすい解説

ボウフウ(防風)
ボウフウ
Siler divaricatum

セリ科の多年草で,アジア東北部の冷温帯に産する。薬用植物として江戸時代に日本へ渡来したが,今日ではほとんど見かけなくなった。種子から発芽して3年目に花茎を出して開花し枯れてしまう。茎の高さは約 1mで多く分枝し,葉は3回羽状に深裂して裂片は細い。質はやや硬く,帯白緑色で,全体に香気がある。夏から秋にかけて,セリに似た白色の小花を多数散形花序につける。2年目の植物の根を掘取り,乾燥したものを防風という。漢方で風邪の薬として用いられる。

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