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新論 しんろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新論
しんろん

江戸時代末期の水戸学会沢安の著書。上下2編。「国体」 (上,中,下) ,「形勢」「虜情」「守禦」「長計」の7章から成る。日本の国体としての優越性を前提とし,それゆえに「攘夷」の主張が正しいのは情勢の問題ではなく,日本という国の性格に基づく本質の問題であると主張し,尊王攘夷論の理論的支柱の一つとなった。藩主に献上するために文政8 (1825) 年に書上げられたが,現状批判の激しさから公刊を許されず,衆目に触れる機会を公的に奪われていたが,ひそかに筆写され,また印刷 (57) されて尊王攘夷派志士の間で読まれた。後期水戸学の代表的著作で,歴史によって国体の優越性を説く主張は『大日本史』の伝統を継いでいる。

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デジタル大辞泉の解説

しん‐ろん【新論】

新しい理論や論説

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百科事典マイペディアの解説

新論【しんろん】

会沢(あいざわ)正志斎主著異国船打払令公布を契機として1825年春成る。漢文。7編。国体編(上中下)では国家体制を論じ,形勢編で世界情勢を,虜情編で外国の侵略意図を説いて危機を強調,守禦編で外敵防御の方策を,長計編で国家長久の計をたてる。

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世界大百科事典 第2版の解説

しんろん【新論】

後期水戸学の大成者会沢正志斎の主著。1825年(文政8)成稿。幕末における内外の危機,とくに対外的危機を克服するために書かれたが,西洋の脅威は直接的な軍事的侵略ではなくて,キリスト教の浸透や通商に伴う民心の動揺,離反に焦点をおいてとらえられるため,西洋諸国は卑しむべき夷狄(いてき)であり,接近してくれば打ち払うべきだと強調される。それどころか,意図的に攘夷を鼓吹することによって,民心を結集することすらがねらわれている。

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大辞林 第三版の解説

しんろん【新論】

新しい論文や論説。新しい考え。新説。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

新論
しんろん

水戸藩幕末の思想家会沢正志斎(あいざわせいしさい)の代表的著作。水戸学の経典としても重要視される。1824年(文政7)イギリス人の水戸領大津浜上陸事件で筆談役を勤めた体験からの危機意識を直接の契機として、翌年、藩主斉修(なりのぶ)へ上呈の目的をもって述作され、その師藤田幽谷(ゆうこく)を経て提出された。しかし幕府の政治向きにかかわるため、公刊された1857年(安政4)までの30余年間、筆写されて全国に伝播(でんぱ)した。本書は上下2巻に分かれ、国体(上・中・下)、形勢、虜情(りょじょう)、守禦(しゅぎょ)、長計の5論7篇(へん)よりなる。国体で忠孝尚武、民を重んじた日本伝統の精神を述べ、形勢で世界の大勢を論じ、虜情で欧米諸国がわが国をうかがう実情を説き、守禦で富国強兵を語り、長計で庶民教化の大本(おおもと)に至り、国教としての神道(しんとう)を力説した。全篇を貫く尊王攘夷(じょうい)の主張は幕末期青年志士に甚大な影響を与え、明治維新運動の思想的背景となったが、倒幕・王政復古への展望をもつものでなく、あくまで幕府政治を肯定し、徳川の天下を支える意義を果たした。[山口宗之]
『瀬谷義彦他校注『新論』(『日本思想大系53 水戸学』所収・1973・岩波書店)』

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