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ボバリー夫人 ボバリーふじんMadame Bovary

6件 の用語解説(ボバリー夫人の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ボバリー夫人
ボバリーふじん
Madame Bovary

フランスの小説家ギュスターブ・フローベールの小説。 1856年『パリ評論』に発表,翌年刊。実直で平凡な田舎医者の妻エンマ・ボバリーが主人公。実際に起った姦通事件を素材にし,人物や事物の描写においては作者の主観をできるだけ排除し,文体も簡潔で,高い完成度を示し,フランス写実主義小説の古典とされている。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉の解説

ボバリーふじん【ボバリー夫人】

《原題、〈フランス〉Madame Bovaryフロベール長編小説。1857年刊。田舎医者の妻エンマ=ボバリーが、凡庸な夫との単調な日常生活にあきたらず、夢想のはけ口を情事に求めた末ついに自殺するまでを描く。フランス写実主義文学の代表的作品。

出典|小学館
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百科事典マイペディアの解説

ボバリー夫人【ボバリーふじん】

フローベールの小説。《Madame Bovary》。1857年刊。田舎医者ボバリーの妻エンマは平凡で退屈な生活から抜け出そうと愚かな恋に走り,借金をかさね,ついに自殺に追い込まれる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ボバリーふじん【ボバリー夫人 Madame Bovary】

フランスの小説家フローベールの長編小説。副題は〈田舎風俗〉。1856年《パリ評論》誌に連載発表され,風俗壊乱・宗教冒瀆のかどで起訴されるが無罪判決を受け,57年,単行本出版。凡庸な田舎医者シャルル・ボバリーと結婚した女主人公エンマは,結婚生活の現実に幻滅,少女時代から抱きつづけたロマンティックな幻影を追い求めて2人の男とつぎつぎに関係を結ぶが,その過程で借財を重ね,情人たちにも裏切られ,夢想の完全な崩壊を前にして自殺する。

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大辞林 第三版の解説

ボバリーふじん【ボバリー夫人】

フローベールの長編小説。1857年刊。単調な生活に倦いた田舎医者シャルル=ボバリーの妻エンマの、ロマンチックな夢とその破綻を描く。フランスにおけるリアリズム文学の金字塔とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ボバリー夫人
ぼばりーふじん
Madame Bovary

フランスの小説家フロベールの長編小説。副題「地方風俗」。1857年刊。執筆に5年を費やした刻苦の処女作であり、作者の代表作と目される。凡庸な田舎(いなか)医者シャルル・ボバリーの妻エンマは多情多感で夢想的な性格なので、夫に飽き足らず、独身の地主ロドルフ、ついで公証人役場書記レオンを相手に情事を重ねるが、夫に内緒の借金がかさんだあげく進退窮まり、ついに砒素(ひそ)を飲んで自殺する。当時としては驚くべき赤裸々な描写で女主人公の行状を叙したこの小説は、雑誌に分載中から注目を浴び、1857年1月、作者は風俗壊乱のかどで起訴されたが、結局無罪となった。この事件は作者の名を一躍文壇に高からしめたが、この作品の真価はむしろ厳しい文体上の彫琢(ちょうたく)と緊密な構成とともに、抽象名詞を連ねた従来の心理小説とは違って、作中人物の心理を彼らの独白や会話や行為のうちに冷徹な目で記録しようとする仮借ない客観性にあり、フランス写実主義小説の最初の傑作とみなされる。一方「ボバリー夫人は私だ」という作者のことばが示すように、主人公エンマは作者の若き日の夢想を共有し、作者の感受性によって内面から生かされているために、単なる風俗小説からは得られない深い共感を読者の心に呼び起こさずにはいないのである。[山田 
『伊吹武彦訳『ボヴァリー夫人』(岩波文庫) ▽杉捷夫訳『ボヴァリー夫人』(『世界文学全集 第28巻』所収・1966・筑摩書房)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内のボバリー夫人の言及

【写実主義】より

…流派のもう一方の旗頭となったデュランティも,みずから編集発行する文学雑誌《写実主義》(1856‐57)などを通じて写実主義理論をくりかえすかたわら,その理論にのっとった小説を発表した。しかし,ロマン主義に代わって写実主義こそが時代の文学的潮流となったことを決定的に印象づけたのは,フローベールの小説《ボバリー夫人》(1857)である。フローベール自身は写実主義派の文学理論や実作に強い嫌悪の念を抱いていたにもかかわらず,《ボバリー夫人》以下の諸作によって,この作家は写実主義文学の真の巨匠とみなされるに至り,後の自然主義の作家たちからも先駆者と仰がれることになった。…

【心理小説】より

…こうした傾向を集約した人間学の新しい理論として登場したのが,フロイトの精神分析学であるが,それと呼応するかのように,プルーストは畢生の大作《失われた時を求めて》(1913‐27)で,〈私〉の独白に始まる自伝的回想が,そのまま写実的な一時代の風俗の壁画でもある空間を創造して,心理小説に終止符を打った。人物や家屋や家具の純粋に視覚的な描写の連続のしかたが,そのまま観察者=話者である主人公の嫉妬の情念の形象化でもあるようなロブ・グリエの《嫉妬》(1957)は,プルーストの方法をいっそうつきつめた成果であるが,その先駆者は《ボバリー夫人》(1857)のフローベールにほかならない。 この観点からすると,どんなに写実的であろうと,すべての小説は心理小説であるという逆説も成り立つ。…

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