ポジティブリスト(英語表記)positive list

デジタル大辞泉の解説

原則として禁止されている中で、例外として許されるものを列挙した表。特に、輸入制限が原則のときに、例外として輸入自由の品目を列記したもの。輸入自由品目表。⇔ネガティブリスト
食品衛生法に定められる、残留農薬等に関するポジティブリスト制度のこと。農薬・動物用医薬品・飼料添加物(農薬等という)などを対象に、その成分が一定基準を超えて残留する農作物食品の、製造・輸入・販売を原則禁止する制度。約800の農薬等に基準値が設定され、この基準値を満たす農作物・食品だけが流通できる。食品衛生法の改正により平成18年(2006)に導入。
[補説]2で、残留基準のない農薬等には0.01ppm以下という一律基準が適用される。また、法改正以前は規制する農薬等を列挙するだけで、それ以外のものについての規定がない(ネガティブ)制度だった。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

すべての食品について、農薬や動物用医薬品、飼料添加物などすべての化学物質の基準を定め、超えると出荷を停止する制度。中国産冷凍ホウレンソウの残留農薬問題契機に導入し、06年5月から実施。実施前は283種類の農薬類しか基準がなく、その他は検出しても措置がとれなかった。現在、約800種類の農薬類について精査、主な食品ごとの基準を設定している。精査が済んでいない農薬類や食品については、「個別基準のない食品」などとして一律0.01ppm以下とする基準値が定められた。

(2007-06-09 朝日新聞 朝刊 生活1)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

原則として規制・禁止する状態で、例外的に許されるものだけを列挙した一覧表。「ポジティブリスト方式」「ポジティブリスト制度」などとよび、広く世界の法律、政策、制度に適用されている。反対に、原則として自由とする状態で、例外的に禁止・規制するものを列挙した一覧表をネガティブリストとよぶ。とくに、大陸法を適用しているヨーロッパ各国や日本などでは政策や制度で「許されること」だけを列挙するポジティブリスト方式をとるケースが多い。一方、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの英米法を適用する国々では、「してはいけないこと」のみを明示するネガティブリスト方式をとる場合が多い。一般にポジティブリスト方式は原則として禁止・規制しているため犯罪・事件・事故などを抑止する効果があるものの、許されることが限定的になるためイノベーション(技術革新)が起きにくいという欠点があるとされる。

 貿易分野では、貿易自由化の対象とする分野のみを約束表(リスト)に明示する方式をポジティブリスト方式とよび、この約束表がポジティブリストとなる。一方、ネガティブリスト方式は自由化しない分野のみを一覧表にする方式で、一般にポジティブリスト方式よりネガティブリスト方式のほうが貿易の自由化が進んでいるといえる。

 軍事・防衛分野では、軍事・防衛行動として許される行為のみを列挙し、それ以外は禁止する方式をポジティブリスト方式という。

 日本では、食品の安全性を確保するため、すべての食品に残留・混入する農薬、動物用医薬品、飼料添加物の流通・販売を原則禁止とし、人の健康を損なうおそれのない化合物のみを基準値とともに明示するポジティブリスト制度を採用している。2002年(平成14)に中国産冷凍ホウレンソウから基準値を超す農薬が検出されたことを機に、2006年の改正食品衛生法の施行で実施された。また、化粧品では、安全性を確保するため、配合できる防腐剤、紫外線吸収剤、タール色素について、配合可能な種類のみを許容量とともに定めるポジティブリスト方式をとっている。

[矢野 武 2016年6月20日]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (positive list) 原則的に輸入制限または禁止策をとっている国が、特に自由化を認める商品を表示した品目表。

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