ポリアミド(読み)ぽりあみど(その他表記)polyamide

翻訳|polyamide

デジタル大辞泉 「ポリアミド」の意味・読み・例文・類語

ポリアミド(polyamide)

アミド結合-CO-NH-によって重合した高分子化合物総称。紡糸して合成繊維ナイロンを作る。

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精選版 日本国語大辞典 「ポリアミド」の意味・読み・例文・類語

ポリ‐アミド

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] polyamide ) -CONH- 結合をもつ重合体の総称。線状合成ポリアミドはナイロンと呼ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリアミド」の意味・わかりやすい解説

ポリアミド
ぽりあみど
polyamide

アミド結合-CONH-で連結した重合体(ポリマー)の総称。PAと略称される。ジアミンと二塩基性酸の重縮合によって得られる。ポリアミドは、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂環式ポリアミドに分類される。

 脂肪族ポリアミドの代表的なものに、ナイロン6,6がある。炭素数6個のヘキサメチレンジアミンと、炭素数6個のアジピン酸の重縮合によって製造される。このように、脂肪族ポリアミドはナイロンとよばれ、これを構成する原料の炭素数によってナイロンの種類が示される。芳香族ポリアミドは、さらに耐熱性を向上させるために芳香族骨格を導入したもので、アラミドaramidの名で知られる。

 一般にポリアミドは繊維となるほか、耐熱性に優れ、機械的性質、電気特性、耐薬品性にも優れるなどの長所を有し、ポリアセタールと同様、金属を代替するエンジニアリング・プラスチックとして注目されている。ポリアミド系合成繊維は、ポリエステル系、ポリアクリロニトリル系(アクリル繊維)とともに、合成繊維の主力を占めている。

垣内 弘]

『工業調査会編・刊『プラスチック技術全書9 ポリアミド樹脂』(1979)』『福本修編『ポリアミド樹脂ハンドブック』(1988・日刊工業新聞社)』『日本化学会編、今井淑夫・岩田薫著『高分子構造材料の化学』(1998・朝倉書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ポリアミド」の意味・わかりやすい解説

ポリアミド
polyamide

分子内の主鎖にアミド結合-CONH-をもつポリマーの総称。しばしばデュポン社の商品名ナイロンが一般名化して用いられる。代表的なポリアミドは,ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮合ポリマーのナイロン66(ろくろく)と,ε-カプロラクタムの重合体のナイロン6で,繊維とされるほか,フィルム,成形品としても用いられている。強靱で耐衝撃性・耐薬品性にすぐれ,電気特性・難燃性もよく,ポリアセタールと並ぶ代表的なエンジニアリングプラスチックである。また,ナイロン610(ろくとう),11(いちいち),12(いちに)も知られ,柔軟で弾性に富み,耐油性・吸水性がすぐれている。

 耐熱性を向上させるために芳香族骨格を導入した全芳香族ポリアミド(アラミドaramidともいう)も工業化されている。フタル酸クロリドとメタフェニレンジアミンから得られるノメックスNomex(商品名,デュポン社)は電気絶縁材としてすぐれている。

耐熱性と高弾性率をもつ繊維ケブラーKevlar(商品名,デュポン社)もアラミドの一種で,テレフタル酸クロリドとパラフェニレンジアミンから製造される。


ナイロン
執筆者:

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化学辞典 第2版 「ポリアミド」の解説

ポリアミド
ポリアミド
polyamide

主鎖に酸アミド結合をもつポリマーの総称.線状のポリアミドは二官能性の単量体の縮合生成物として得られるが,ε-アミノカプロン酸のようなアミノ酸からはAB形の,二塩基酸とジアミンとからはAABB形のポリマーが得られる(Aはアミノ基を,Bはカルボキシル基を示す).もっとも代表的なものは,アジピン酸ヘキサメチレンジアミンの縮合生成物であるナイロン66,およびε-カプロラクタムの重合によるナイロン6である.ナイロン繊維,およびナイロン樹脂としてすぐれた性質をもち,広く使用されている.ポリアミドを構造的に区別するのに,それぞれの単量体の炭素原子の数を用いる.最初にジアミンのアミノ基にはさまっている炭素数を,次に二塩基酸の直鎖の部分の炭素数を書く.たとえば,ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との縮合物としてのポリマーは6,6-ポリアミドと,またε-カプロラクタムからの重合体のような自己縮合型のポリマーでは,単量体中の炭素原子数を用いて,6-ポリアミドとする.さらに単量体としてテレフタル酸を用いたときにはTを使用する.合成繊維として最初に市販されたポリアミドは,商品名でナイロンとよばれた6,6-ポリアミドであるが,その後,ナイロンということばが一般的になり,現在では,“ポリアミド”のかわりに総称として“ナイロン”がよく使われる.[別用語参照]芳香族ポリアミド

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百科事典マイペディア 「ポリアミド」の意味・わかりやすい解説

ポリアミド

主鎖中にアミド結合−CONH−をもつ高分子化合物の総称。合成ポリアミドにはナイロンなどの合成繊維があり,成形品はエンジニアリングプラスチックの代表。天然ポリアミドには絹フィブロインや羊毛ケラチン(角質)などがある。
→関連項目アラミド繊維プラスチック工業ポリアミド樹脂

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポリアミド」の意味・わかりやすい解説

ポリアミド
polyamide

主鎖の繰返し単位中にアミド結合 ( -CONH- ) を有する重合体の総称。したがって,ポリアミドには天然のポリアミドと合成のポリアミドがある。このうち脂肪族ポリアミドはナイロンと呼ばれ,ナイロン6,ナイロン 66は代表的な合成繊維である。これらはまたエンジニアリングプラスチックとしても使用されている。ヘテロ環を含むポリアミドは耐熱性高分子として用いられる。

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栄養・生化学辞典 「ポリアミド」の解説

ポリアミド

 ナイロンのように,分子内にカルボン酸アミドをもつ重合体の総称.

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世界大百科事典(旧版)内のポリアミドの言及

【エンジニアリングプラスチック】より

…エンプラと略称されることもある。代表的なものとしては,ポリアセタールポリアミド(ナイロン),ポリエステル(PBT),ポリカーボネート,変性PPO(商品名ノリル)があり,汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)と呼ばれる。エポキシ樹脂,シリコーン樹脂のような熱硬化性樹脂,より耐熱性の高いポリアリレート,PPS,ポリイミド樹脂なども含まれる。…

【化学繊維】より

…世界の合成繊維生産に占めるポリエステルの割合は年々増加し,最近では約半数に達している。
[ポリアミド系]
 ポリアミドはアミド結合で結ばれた高分子の総称。ナイロンと呼ばれる。…

※「ポリアミド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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