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マクスウェルの魔物 マクスウェルのまものMaxwell's demon

5件 の用語解説(マクスウェルの魔物の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マクスウェルの魔物
マクスウェルのまもの
Maxwell's demon

可逆的な力学法則に従った気体の分子運動と,不可逆性を表わす熱力学第二法則との間の矛盾を説明するために,1871年 J.C.マクスウェルが考案した仮想的な魔物。中仕切りにより空間A,Bに分けられた容器に気体を入れる。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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世界大百科事典 第2版の解説

マクスウェルのまもの【マクスウェルの魔物 Maxwell’s demon】

マクスウェルの悪魔ともいう。多数の分子の集団の取扱いには統計的手法を用いることが必要で,また熱力学の第2法則は統計的な真理であることを主張するために,J.C.マクスウェルが《熱の理論》(1870)の中で導入した,ミクロな情報を識別して分離する仮想上の生物。一様な温度にある物質の中に自然に温度差が生ずることはないということは,熱力学の第2法則の根底となる経験的事実であるが,例えば,気体の入った箱の中央に小さな穴をあけて,そこで,分子の速度を識別して,速度の大きいものは一方向に通過させ,速度の小さいものは反対方向にのみ通過させる生物が存在したとすると,一方の気体の温度はどんどん上がり,他方の気体はどんどん温度が下がることになる。

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大辞林 第三版の解説

マクスウェルのまもの【マクスウェルの魔物】

マクスウェルが1870年「熱の理論」に登場させた魔物。気体を入れた容器内の隔壁につけられた小さな扉を開閉して、速度の大きい分子と小さい分子をえりわけて通過させる架空の生き物。熱力学の第二法則に反して、一様な温度にある物質内でひとりでに温度差が生じる。このような存在が知られていないことをもって、マクスウェルは、分子集団の統計的な取り扱いの必要性と第二法則の統計的性格を強調した。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マクスウェルの魔物
まくすうぇるのまもの
Maxwell's demon

電磁気学で有名なイギリス物理学者マクスウェルが1871年に書いた『熱の理論』という本のなかに出てくる想像上の魔物(マクスウェルの悪魔ともいう。命名者はイギリスのケルビン)。気体を入れた器を隔壁でAとBの2室に分け、隔壁に小穴をあけて軽い戸をつけ、魔物に張り番させる。魔物は飛来する気体分子の速度を見分ける超能力をもち、一定値以上の速さの分子がA側からきたときには戸を開いてB側へ通すが、遅い分子がきたときには戸を閉めてしまう。逆にB側から飛んでくる分子については、遅いものはAへ通すが速いものは通さない。戸はきわめて軽くて魔物は開閉にエネルギーを使わなくてよいとする。そうすると、この操作を続ければ、やがてAは遅い分子、Bは速い分子で満ちることになるから、A内は低温、B内は高温となり、エネルギー消費なしに温度差をつくりだす(第2種の永久機関がつくられる)ことになって熱力学の第二法則に矛盾する。魔物が電力不要のクーラーの役を果たすわけである。
 マクスウェルのこの問題提起は多数の物理学者に議論の素材を与え、不可逆(非可逆)現象の本質究明に役だった。魔物は分子の速さを「識別」するという操作のためにエネルギーを使い、エントロピーを増大させなければならないので、そのことまで考えると熱力学とは矛盾しないことが示されたが証明されたのは、1929年以降のことである。[小出昭一郎]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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世界大百科事典内のマクスウェルの魔物の言及

【統計力学】より

…ボルツマンはこの方法でマクスウェル=ボルツマン分布をJ.W.ギブズが正準分布と呼ぶものへと拡張したのであるが,マクスウェルが79年に取り上げるまで,この新方法も顧みられなかった。エルゴード理論
[マクスウェルの魔物]
 マクスウェルは熱力学の第2法則は数学的真理ではなく統計的真理であるとした。このことに関連して彼は各分子の走路を追跡できる鋭い能力をもつ生物を想像する。…

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