改訂新版 世界大百科事典 「マラニョン」の意味・わかりやすい解説
マラニョン[州]
Maranhão
ブラジル北東部の州。面積32万8663km2,人口565万1475(2000)。州都サン・ルイス。南緯1°~10°21′に位置し,北は大西洋に面する。東からパルナイバ川,イタピクル川,メアリン川などの北東部諸河川の流域が開け,海岸に沿って低地帯が広がるが,内陸一帯は,大部分がケスタと楯状地をもつ高原である。気候は,全体として熱帯型で,ブラジル北東部と北部との漸移型を示し,年平均気温25~27℃,年降水量は2000mmに達する。州の西半分はアマゾン川流域に似た熱帯雨林で,ババースヤシの群落が特徴的であり,東半分は,北東部諸州の内陸に似てセラードが卓越する。海岸のサン・ルイスでも雨は1~5月に集中し,8~11月にはきわだった乾季が現れる。したがって,この地域の河川の増水期と渇水期の水位差は激しい。19世紀にイギリス向けの綿花栽培で発展したが,今は綿花,米,サトウキビの栽培のほか,ババースヤシ(油,食料,建築材)の採取と牧牛が主産業である。河川交通,道路網の整備も遅れ,産業は停滞している。現在,サン・ルイスに製鉄を中心にした工業団地の造成が計画中である。
執筆者:西川 大二郎
マラニョン
Gregorio Marañón
生没年:1887-1960
スペインの医者,著述家。内分泌学が専門で,医学的著書のほか,歴史上の人物の伝記,政治・社会を主題にした著書が多い。おもなものに《スペインの根と徳性》(1933),《エンリケ4世》(1934),《オリバレス伯公爵》(1936),《アントニオ・ペレス》(1947),《エル・グレコとトレド》(1957)などがあるが,穏健で道徳的な取組みと自由主義的観点が特徴的である。彼はまたプリモ・デ・リベラの独裁に反対して熱烈な共和国主義者となり,1930年には反王政署名に名を連ね,自宅で共和政樹立の討議を重ねた(1931年4月)が,しだいに政治から離れ,内戦勃発以後43年までフランスに亡命した。亡命中にスペインでの弾圧を非難し,自由主義と共産主義に関するパンフレットも発行している。
執筆者:フアン・ソペーニャ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報