福岡県南西部にある市。2007年(平成19)、山門郡瀬高町(せたかまち)、山川町(やまかわまち)、三池郡(みいけぐん)高田町(たかたまち)が合併、市制を施行してみやま市が成立。これにより山門、三池両郡は消滅。有明(ありあけ)海に注ぐ矢部川(やべがわ)下流域の左岸に位置し、西は同川を挟んで柳川(やながわ)市、北は筑後(ちくご)市、東は八女(やめ)市、南は大牟田(おおむた)市などに接し、南西部は有明海に面する。市域の東部は丘陵や山地、そのほかの大部分は筑紫平野(筑後平野)で、田園地帯が広がり、一部有明海の干拓低地を含む。西部をJR鹿児島本線、西鉄天神大牟田線、国道208号、209号が通り、東部を国道443号、九州自動車道が並行して南北に貫き、みやま柳川インターチェンジがある。ほか、主要地方道が整備されて隣接する諸都市とを結んでいる。
矢部川流域は早くから開け、高田町上楠田(かみくすだ)には5世紀中頃の石神山古墳(せきじんさんこふん)(国指定史跡)がある。出土した武装石人は冑、短甲を装着した様子が写実的に彫刻されたもので、国指定重要文化財。瀬高町地区の東部丘陵地には古代山城の遺構である女山神籠石(ぞやまこうごいし)(国指定史跡)がある。矢部川は中世以来水上交通路として利用された。江戸時代中期以降、それまで東方丘陵部を通っていた薩摩街道(さつまかいどう)が西寄りに変更されると、瀬高上庄(せたかかみのしょう)村は柳川街道との合流点、瀬高下庄村は三池街道へ通じる分岐点として交通の要所となり、商業活動が拡大。両地区には町屋が建ち並び、今に引き継がれる酒造業が盛んとなった。
現在の主産業は農業で、平地部ではハウスによるナス、セロリなど、東部山間地ではミカンを中心とした柑橘類が栽培されている。有明海に面する地域ではノリ養殖を含めた漁業も行われており、江浦(えのうら)漁港がある。2008年4月瀬高町高柳に保健医療経営大学が開学した(2023年閉校)。清水寺(きよみずでら)本坊庭園(国指定名勝)があり、大江天満神社(おおえてんまんじんじゃ)には幸若舞(こうわかまい)(国指定重要無形民俗文化財)が伝わる。また矢部川流域は矢部川県立自然公園となっている。面積105.21平方キロメートル、人口3万5861(2020)。
[編集部]
福岡県南西部の市。2007年1月瀬高(せたか),高田(たかた),山川(やまかわ)の3町が合体し成立。人口4万0732(2010)。
みやま市北部の旧町。旧山門(やまと)郡所属。人口2万3762(2005)。筑紫平野南東部に位置し,筑後市の南に接する。東部は標高300m内外の筑肥山地で,北部を矢部川が南西流する。柳川城下の河港,肥後街道の宿場町として栄え,現在はJR鹿児島本線が通じる。主産業は農業で,米と野菜栽培が中心。とくに春ナスの栽培は有名で,おもに京浜地方に出荷される。北に久留米市,南に大牟田市を控え,交通の便もよいため両市のベッドタウン化が進んでいる。本坊庭園(名)を有する清水寺,女山(ぞやま)の神籠石(こうごいし)(史)などがある。
みやま市南部の旧町。旧三池郡所属。人口1万4219(2005)。有明海に臨み,南は大牟田市に接する。東部は古生層の山地からなり,西部一帯は矢部川とその支流の沖積低地で筑紫平野に連なり,海岸部には広大な干拓地が開ける。JR鹿児島本線,西鉄大牟田線が通じる。主産業は農業で,低地では米と野菜,畜産を組み合わせた近代的農業が営まれ,傾斜地ではミカン栽培が中心である。また沿岸ではノリの養殖が盛ん。有明炭鉱は1975年から出炭が再開されたが,97年閉山された。
みやま市東部の旧町。旧山門郡所属。人口5391(2005)。筑紫平野南東端に位置し,南は熊本県に接する。東部には筑肥山地西麓の丘陵地が広がる。古代は官道が西部を通り,狩道(かりじ)駅が置かれた。江戸時代には鹿児島路が通り,古くから筑後と肥後を結ぶ交通の要地であった。国道443号線が通る。ミカンと米が主な産物。
執筆者:松橋 公治
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