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ムカシトンボ Epiophlebia superstes

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ムカシトンボ
Epiophlebia superstes

トンボ目ムカシトンボ科。体長約 50mm,後長 29mm内外。体は黒色で黄色斑があり,一見サナエトンボに似ている。複眼は左右広く離れる。翅は細く,前後翅ほぼ同形で基部は柄状になり,四角室は不等辺で短い。このように,体はトンボ亜目のトンボに似て大型でがんじょうであるが,翅や翅脈がイトトンボ亜目に似ている点で特異であり,本種とヒマラヤムカシトンボ E. laidlawiの2種をもってムカシトンボ亜目 Anisozygopteraを形成する。この特徴は約1億 5000万年前に生存したトンボの形を残しているため「生きている化石」ともいわれる。山間の渓流にすみ,幼虫期間に7~8年を要して成虫が春から初夏にかけて出現する。日本固有種で北海道,本州,四国,九州に,島嶼では隠岐諸島,天草諸島に産する。 (→トンボ類 )  

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百科事典マイペディアの解説

ムカシトンボ

トンボ目ムカシトンボ科の昆虫の1種。日本の特産。体長50mm内外,黒地に黄斑がある。体はサナエトンボに近く,翅の構造はイトトンボに近い。成虫は5〜6月ごろ渓流上に見られ,止まるときには翅を半開にするかまたは全く閉じる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ムカシトンボ
むかしとんぼ / 昔蜻蛉
[学]Epiophlebia superstes

昆虫綱トンボ目ムカシトンボ科に属する昆虫。この類の現存種は2種だけで、日本産のムカシトンボとヒマラヤ山系のヒマラヤムカシトンボEpiophlebia laidlawiで、ムカシトンボ亜目を形成する。中生代のジュラ紀を中心に栄えた一群の遺存種で、現存の二大亜目のトンボの中間的性質がみられる。中形種(体長約50ミリメートル、後翅(こうし)長約38ミリメートル)、体はややサナエトンボに似た黒色の地に黄斑(おうはん)をもつが、はねは基部で細まって、翅脈は均翅亜目的であり、生殖器、尾部付属器、筋肉などにも原始的特徴がみられる。日本列島では北海道から九州南端部まで産するが、島嶼(とうしょ)では隠岐(おき)と天草諸島に限られる。幼虫は山間の渓流で低水温の環境だけに生活し、その期間は7~8年にわたると推定される。
 春季4~5月に羽化するが、幼虫羽化直前の数週間は陸上の地面の間に潜む。渓谷の上空を飛翔(ひしょう)して摂食し、雄は流水辺にきて雌を求め、流水を遡行(そこう)して飛翔するのがみられる。交尾は静止して行い、雌は水辺の流れに接したフキ、ワサビなどの組織の柔らかい植物体に止まって産卵する。卵はソーセージ形で植物組織中に規則正しく蛇行状をなして産み込まれ、4回の産卵数が1000個に達することがある。卵は20℃ぐらいでは約1か月を経て孵化(ふか)し、エビのような形をした原幼虫は産卵孔から脱出して水中に落ちる。幼虫の形はまったく不均翅型であるが、呼吸器などにはすこぶる原始的特徴がみられる。最近、渓流沿いのコケ類にも産卵することがわかった。[朝比奈正二郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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