ムシクイ(英語表記)leaf warblers

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ムシクイ
leaf warblers

スズメ目ムシクイ科 Phylloscopidae,ハシナガムシクイ科 Macrosphenidaeなどの鳥の総称。ムシクイ類はかつてウグイス科の鳥だったが,それがいくつもの科に分離され,ウグイス科やセッカ科,ダルマエナガ科(Sylviidaeはウグイス科,ズグロムシクイ科,ダルマエナガ科と変遷している)などの属や種にはムシクイの名が入るものが多い。したがって,分類としては明確な境界を設けることが難しく,広義にはそれらもムシクイと呼ばれる。種数は数百に及ぶ。全長 9~16cm。羽色は一般に,上背面はオリーブ色,下面は白色または黄白色で,地味である。どの種もかなり似た羽色,形態をしているが,それぞれの種独特の美しいさえずりをする。アフリカユーラシア大陸のほか,少数が太平洋やインド洋の島嶼,オーストラリアに生息する。ほとんどが名前のように昆虫食で,がほっそりとし,木や草の葉陰から昆虫類やクモ類をとって生活する。日本にはイイジマムシクイエゾムシクイセンダイムシクイメボソムシクイの 4種が夏鳥(→渡り鳥)として繁殖するほか,カラフトムシクイ P.proregulus とキマユムシクイ P.inornatus など 10種近くが春秋の渡りの時期に少数見られる。

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百科事典マイペディアの解説

ムシクイ

ヒタキ科ウグイス類の一部の鳥をさす総称。ウグイスに似た形や色彩をもち,翼長6〜7cm。アジア中・北部で繁殖する。日本には夏鳥として渡来し,北海道,本州,四国に分布。メボソムシクイは亜高山帯の針葉樹林に多く,チョリチョリと鳴く。より低山にすむセンダイムシクイはシッピチジー,エゾムシクイはヒーツーキーと鳴く。渡りの時には市街地でもさえずりをきく。ほかに伊豆諸島とトカラ列島で繁殖する夏鳥のイイジマムシクイがいる。イイジマムシクイは絶滅危惧II類(環境省第4次レッドリスト)。おもに樹上で生活し,昆虫を主食。巣は地上のくぼみに作られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ムシクイ
むしくい / 虫喰

鳥綱スズメ目ヒタキ科ウグイス亜科のメボソムシクイ属、ズグロムシクイ属、ハシナガムシクイ属に含まれる約40種の鳥の総称。ユーラシアに繁殖分布し、いずれも全長十数センチメートル、樹上性である。木の枝を移りながら、体を水平にしたままの姿勢で昆虫を採食する。伸び上がったり、わずかに飛び上がったりして、葉の裏の昆虫をとることも多いが、シジュウカラ科の鳥のように枝に逆さまにぶら下がることはない。メボソムシクイ属Phylloscopusには15種あり、各種とも背面はオリーブ褐色で森林にすみ、互いによく似ているが、鳴き声と生息環境は種ごとに異なっている。日本では6種が記録されており、メボソムシクイ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、イイジマムシクイが繁殖し、まれな旅鳥であるほかの2種キマユムシクイ、カラフトムシクイ同様、中国南部、インドシナ半島などで越冬する。ヨーロッパでも、モリムシクイP. sibilatrixなど数種が繁殖し、とくに鳴き声から名の生じたチフチャフP. collybitaはよく知られている。ズグロムシクイ属Sylviaには14種あるが、日本では記録がない。背面は灰色か黒褐色で、林縁、やぶ、公園などにすむ。ヨーロッパでは、ニワムシクイS. borinとズグロムシクイS. atricapillaなどが多く繁殖する。ハシナガムシクイ属Hippolaisには13種があり、背面は灰色かオリーブ褐色で、嘴(くちばし)が長い。日本では記録がない。なお、ムシクイと同様の生活をするが、分類学上は別のグループとされる鳥に、南北アメリカ産のヒタキ科ブユムシクイ亜科、オーストラリア産の同科オーストラリアムシクイ亜科、南北アメリカ産のアメリカムシクイ科がある。[竹下信雄]

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