ムセイオン(英語表記)Mouseion

世界大百科事典 第2版の解説

ムセイオン【Mouseion】

古代ギリシアのいわば学堂で,とくにヘレニズム時代アレクサンドリアの学術研究所を指す。ラテン語ではmuseumで,これがそのままヨーロッパ各国語で美術館博物館を意味する語となったが,古代ギリシアでは美術品収蔵所をムセイオンと呼ぶことはなく(それはピナコテケpinakothēkēといわれた),本来は,学芸や音楽をつかさどる9人の女神ムーサイ(英語のミューズにあたるムーサの複数形)の祠堂の意。その宗教結社の形で学塾が構成された。

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大辞林 第三版の解説

ムセイオン【Mouseion】

〔学芸・詩歌の女神ミューズの聖域の意〕
学問研究所。特に、プトレマイオス朝の初期にアレクサンドリアに設立され、ヘレニズムの学問の中心となった王立研究所。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ムセイオン

(Mūseion) ギリシアの学芸の神ムーサイの宮殿の意。特にプトレマイオス二世がアレクサンドリアに設けた王室付属研究所。ヘレニズム時代の学問・研究の中心。

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世界大百科事典内のムセイオンの言及

【博物館】より

…しかし,一般に慣用される博物館の呼称では,動植物園などの施設と区別して用いられていることはいうまでもない。〈博物館〉の名称のもとである英語〈ミュージアム〉の語原は,前3世紀に,エジプト王プトレマイオス1世によって,アレクサンドリアに創設された総合学術機関〈ムセイオンmouseion〉によっているが,ミュージアムの呼称がヨーロッパで一般化するのは,17世紀からといわれる。日本で〈博物館〉という名称が初めて使われた時期については明確ではないが,幕末に,遣欧米使節団などに参加した人々の記録中に,各地で見学したさまざまな施設のうちの一つとして〈博物館〉の名称を見ることができる。…

【美術館】より

…いずれにしても現代のように美術そのものの概念が著しく多様化し,拡大し,変化してゆく時代にあっては,美術館の定義もまた流動的ならざるをえない。
[ヨーロッパ]
 ヨーロッパ諸語で〈博物館〉〈美術館〉に当たるmuseum,musée等の語は,諸学芸を司る9人の女神ムーサイMousaiに捧げられた聖域,ムセイオンmouseionに由来するが,ただムーサイには詩や音楽,舞踊の女神はいても美術の女神は見当たらない。また,プトレマイオス1世がアレクサンドリア(エジプト)に建てたムセイオンは,今日の博物館,美術館の元祖の一つとされるが,諸学の研究所的な性格が強かった。…

【アレクサンドリア図書館】より

…古代世界最大の規模を誇った図書館(ビブリオテケ)。エジプトのアレクサンドリアをヘレニズム時代最大の学問中心地たらしめたのは学府ムセイオンとこの図書館であった。ムセイオンとともに王宮内にあったとも,ブルケイオン区にあったとも伝えられている。…

【ギリシア科学】より

…このことはテオフラストスを継いだリュケイオンの学頭ストラトンが,ついにアレクサンドリアに移ったことによっても象徴されている。ここではプトレマイオス朝の君主が学術研究の殿堂ムセイオンを建て,あらゆる研究施設(図書館,天文台,実験室,解剖室など)を整えて科学研究を熱心に奨励した。そこで科学は制度化,専門化され,アテナイ期の哲学的議論を超え出た高度に技術的かつ精密な科学が発達した。…

【博物館】より

…しかし,一般に慣用される博物館の呼称では,動植物園などの施設と区別して用いられていることはいうまでもない。〈博物館〉の名称のもとである英語〈ミュージアム〉の語原は,前3世紀に,エジプト王プトレマイオス1世によって,アレクサンドリアに創設された総合学術機関〈ムセイオンmouseion〉によっているが,ミュージアムの呼称がヨーロッパで一般化するのは,17世紀からといわれる。日本で〈博物館〉という名称が初めて使われた時期については明確ではないが,幕末に,遣欧米使節団などに参加した人々の記録中に,各地で見学したさまざまな施設のうちの一つとして〈博物館〉の名称を見ることができる。…

【美術館】より

…いずれにしても現代のように美術そのものの概念が著しく多様化し,拡大し,変化してゆく時代にあっては,美術館の定義もまた流動的ならざるをえない。
[ヨーロッパ]
 ヨーロッパ諸語で〈博物館〉〈美術館〉に当たるmuseum,musée等の語は,諸学芸を司る9人の女神ムーサイMousaiに捧げられた聖域,ムセイオンmouseionに由来するが,ただムーサイには詩や音楽,舞踊の女神はいても美術の女神は見当たらない。また,プトレマイオス1世がアレクサンドリア(エジプト)に建てたムセイオンは,今日の博物館,美術館の元祖の一つとされるが,諸学の研究所的な性格が強かった。…

【プトレマイオス王国】より


[歴史]
 開祖プトレマイオス1世はパレスティナ,キプロス,小アジアにまで領土を拡大し,国内では行政組織を整えて国家の基礎を築き上げた。さらにプトレマイオス2世フィラデルフォスは,2次にわたるシリアとの戦いに勝利して近東方面に領土を拡大,また国内の財政制度を整備し,アレクサンドリア港の増築,ムセイオンの拡充,ナイル川と紅海とを結ぶ運河の開削などを行って父王の仕事を発展させた。しかしプトレマイオス5世エピファネスの時代にマケドニア,セレウコス朝シリア(シリア王国)と戦って敗れ,エーゲ海沿岸,小アジア,パレスティナ地方の領土を失った。…

※「ムセイオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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