ムナグロ(英語表記)lesser golden plover
Pluvialis dominica

改訂新版 世界大百科事典 「ムナグロ」の意味・わかりやすい解説

ムナグロ (胸黒)
lesser golden plover
Pluvialis dominica

チドリチドリ科の鳥。全長約24cm。東シベリアおよび北アメリカ北部のツンドラ帯で繁殖し,冬は南アジア,オーストラリア,南アメリカなどに渡る。日本にはおもに旅鳥として渡来するが,小笠原群島や沖縄南部では越冬するものも多い。くちばしは短くて先が少し膨れている。夏羽は体の上面が黄褐色黒色の斑で,眼先き,顔,前頸(ぜんけい),胸,腹は黒く,額から眉斑,胸側,脇をつなぐ線は白い。冬羽は顔から腹にかけての黒色がなくなり,下面は淡黄褐色の地に黒褐色の縦斑と横紋がある。飛ぶと翼に淡い帯が出る。4月や8月には夏冬中間羽の個体が多い。水田,畑,草原芝生,少し乾いた干潟などにすみ,比較的ゆっくり歩いては,ゴカイや貝をとり,また歩くという動作を繰り返す。キョビョ,キョビッなどと鳴き,地上に下りている群れがにぎやかに鳴き合っていることもある。地上に皿形の巣をつくり,1腹4個の卵を産む。

 同属のダイゼンはムナグロより一まわり大きく,日本には旅鳥または冬鳥として渡来し,全国で見られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムナグロ」の意味・わかりやすい解説

ムナグロ
Pluvialis fulva; Pacific golden plover

チドリ目チドリ科。全長 23~26cm。夏羽(→羽衣)は非常に美しく,顔,喉,胸,腹は黒く,額から眉,さらに胸の脇は帯状に白い。この帯は腹では黒斑が入り,はっきりしない。頭上から背は白,黒,黄白色の細かい斑模様になる。と脚は黒色。冬羽では頭上から背,胸部は黄褐色,腹部は白色。シベリアからベーリング海に及ぶ北極圏ツンドラ地帯に局地的に繁殖分布し,アジア南部,南太平洋の島々オーストラリアニュージーランドアフリカ東部などで越冬する。日本には春秋渡りの時期に渡来し,干潟や河原,湖沼湿地,水田跡や畑地,牧草地などに比較的よく見られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムナグロ」の意味・わかりやすい解説

ムナグロ
むなぐろ / 胸黒
American golden plover
[学] Pluvialis dominica

鳥綱チドリ目チドリ科の鳥。シベリア北部、北アメリカ北部の極地のツンドラで繁殖し、冬には南アメリカ、太平洋各地の島々、ニュージーランド、東南アジアの沿岸などへ渡る。日本では全国から記録があり、おもに春・秋の渡りの季節に通過する旅鳥であるが、小笠原(おがさわら)諸島や沖縄諸島では越冬するものもいる。全長24センチメートルに達する。冬羽では上面は黄褐色と黒褐色の細かいまだら模様で、下面は淡色。夏羽では上面は黒褐色で、黄褐色の小斑(しょうはん)が散在する。下面は顔の下半分から腹までが黒色になる。ムナグロの名はこれに由来し、英名のgolden ploverは上面の黄褐色に由来する。草原、耕地の刈り跡、荒れ地などを好み、海岸にもいるが、干潟にはまれである。

[柳澤紀夫]


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百科事典マイペディア 「ムナグロ」の意味・わかりやすい解説

ムナグロ

チドリ科の鳥。翼長16.5cm。冬羽は背面黒色の地に黄色の小斑が並び,腹面は淡色。夏羽は顔と腹面黒色。シベリア北東部および北米極北部で繁殖し,冬はインド,東南アジア,ニューギニア,オーストラリア等に渡る。日本には旅鳥として春と秋に渡来し,水田,川原などに群生。ミミズ,昆虫,クモなど小動物を食べる。ピョピョー,チョピョーなどと鳴く。羽色のよく似たダイゼンは干潟に多い。

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