芸術、文化への支援活動のことで、とくに企業によるものを意味する。古代ローマの政治家で芸術、文化の擁護者であったガイウス・マエケナスのフランス語読みメセーヌに由来する。英米では、芸術スポンサー(sponsorship of the art)という。主要な方法は二つである。第一は、冠(かんむり)コンサート、冠イベント、冠講座などとよばれる方法で、必要資金を直接負担する。第二は、基金、財団のような支援組織を通じて行う間接的方法である。メセナは企業による社会貢献の一部であり、欧米では以前から活発に行われていたが、日本では1980年代後半から急速に盛んになった。ただ、税制上の優遇措置が十分でない日本の場合、支援が企業の業績によって左右されるなどの問題がある。こうした税制問題への対処、さらには企業によるメセナの奨励とよりいっそうの発展を図ることを目的に、1990年(平成2)3月に社団法人企業メセナ協議会が発足した(1994年文化庁から特定公益増進法人に認定)。同協議会は、メセナ活動の実態調査、「メセナアワード」による企業や財団の表彰などを行っている。アメリカ、イギリス、フランスなどにも同様の組織がある。
[森本三男]
『菅家正瑞監修・編、佐藤正治編『企業メセナの理論と実践――なぜ企業はアートを支援するのか』(2010・水曜社)』
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