改訂新版 世界大百科事典 「メヒシバ」の意味・わかりやすい解説
メヒシバ
crabgrass
Digitaria ciliaris(Retz.) Koel.(=D.adscendens Henr.)
畑地,荒地,路傍,野原などいたる所に普通にみられるイネ科の一年草。ジシバリともいう。茎は根本から数本に分かれて地上をはって広がり,上部は枝分れしながら立ち上がり,高さは約30~80cm。葉は線状の披針形で薄く,長さは8~20cm,幅は5~15mm,葉鞘(ようしよう)は無毛かまたはあらく開出した毛がある(これをアラゲメヒシバと呼ぶ)。7~11月に,茎の頂に花序を出す。花序は3~8個の細い枝をひじょうに短い中軸上にやや放射上に斜上した散房花序で,枝の長さは5~15cmである。小穂は2個ずつ対になってこの枝の上に並び,一方には短い柄があり,他方は無柄で,穂体は披針形,扁平で,長さは3mm弱である。小穂の縁に開出した毛がある。全世界の温帯から熱帯に広範に分布する雑草で,日本全土にみられる。きわめて旺盛に生長する草で,駆除しにくい。和名は雌日芝の意味で,同じく雑草のオヒシバ(雄日芝)に比べて細く小さいからこう呼ばれる。メヒシバ属Digitariaには広分布の雑草が多く,日本には本種のほかにアキメヒシバ,コメヒシバが普通に見られる。
執筆者:小山 鐵夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報