ある交通機関からある交通機関へ、旅客や貨物が利用する交通機関をかえること。主として、旅客においては自家用車から公共交通機関へ、貨物においてはトラックから鉄道、海運などへ輸送の軸足を移す場合をさす。国土交通省は物流の低炭素化などを目ざしてモーダルシフトを推進する事業を行っており、補助金などの交付が行われている。
モーダルシフトの基本的な発想は、輸送効率が悪く、混雑が発生し、環境負荷が高いといわれる自動車輸送を抑制し、輸送効率が高くて環境に優しい交通機関への利用を促進するというところにある。とくに近年においては環境に対する意識の高まりから、環境に優しい交通機関の利用促進のためにモーダルシフトが政策的に誘導されることが多い。この点が、イコールフッティング(各種交通機関の平等な条件の下における競争)の立場から鉄道輸送を擁護し、自動車輸送からのシフトを目ざした1970年代の総合交通体系の議論とは若干異なっている。
[竹内健蔵]
『杉山武彦監修、竹内健蔵・根本敏則・山内弘隆編『交通市場と社会資本の経済学』(2010・有斐閣)』
(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)
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