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ヤツデ

百科事典マイペディアの解説

ヤツデ

本州(福島県以南)〜沖縄の沿海地の林内にはえるウコギ科の常緑低木。庭木として多く植えられ,日陰や大気汚染の激しいようなところでもよく育つ。高さ2〜3mになり,葉は互生し,長柄があって大型で掌状に7〜9裂し,革質で光沢がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヤツデ
やつで / 八手
[学]Fatsia japonica Decne. et Planch.

ウコギ科の常緑低木。名は、八つ手の意味で、手のひらを広げたような葉の形に由来する。高さ2~3メートルになり、樹皮は灰白色で枝分れが少ない。葉は長い柄があり、枝の先に集まって互生する。葉質は厚く、掌状に7~9裂する。径20~40センチメートル、裂片は卵状長楕円(ちょうだえん)形で先がとがり、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。10~12月、枝の先に大形の円錐(えんすい)花序をつけ、白色五弁の小花が球形に集まって開く。雌花と雄花があり、雄しべは5本、花柱も5本ある。果実は小球形で径約8ミリメートル、翌年の4月に黒く熟す。そのころ花序は前に倒れている。品種にシロフヤツデ、フクリンヤツデ、キモンヤツデなどがあり、ともに庭木として植えられている。成長はやや遅いが、耐陰性が強く、移植は容易である。繁殖は実生(みしょう)、挿木、株分けによる。福島県以西の本州から九州、沖縄など暖地の海岸近くの山林に生え、適潤地でよく育つ。[小林義雄]

文化史

特異な葉をもつ日本の植物だが、認識は遅く、元禄(げんろく)時代(1688~1704)の園芸書には名をみない。貝原益軒(えきけん)も『花譜』(1694)では触れず、『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)で「西州に多し……京畿(けいき)にて未(いま)だこれを見ず」と解説した。自生は東北地方南部に至るので、当時まだ栽培が京畿以東では行われていなかったとみられる。『草木奇品家雅見(かがみ)』(1827)には、葉が白く覆輪(ふくりん)したフクリンヤツデを載せる。ヤツデの名は八手に基づくが、葉の切れ込みは7、9、11と通常奇数で、9が多い。それを8としたのは、縁起を担いだと思われる。魔除(まよ)けや疫病除けに庭に植えたり、門口に吊(つ)るす風習があった。学名のファツシアは八手の漢字読みのハッシュによる。18世紀にC・P・ツンベルクがヨーロッパに紹介した。実物はシーボルトが19世紀に伝えた。[湯浅浩史]

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