ユノ(英語表記)Juno

翻訳|Juno

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ユノ」の解説

ユノ
Juno

ギリシア神話ヘラと同一視された古代イタリアの女神。出産や結婚,破瓜など,結婚生活における女性の守護女神であり,月女神的性格ももっていたが,ラウィニウムでは,母神であると同時に,女王でもまた戦士でもある多機能的大女神であるとみなされていた。ローマでは,カピトリヌス丘上のユピテル神殿にミネルワとともに合祀され,最高神の配偶者として厚い崇敬を受けたが,ヘラとの同一視の結果,トロイを敵視し,アイネイアスを介しトロイの伝統を継承するローマに対しても遺恨をもち続けて,エトルリア人カルタゴなどその敵に援助を与える傾向のある女神として恐れられることもあった。

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世界大百科事典 第2版「ユノ」の解説

ユノ【Juno】

古代ローマ人の最高の女神。ユピテルの妃。ギリシア神話のゼウスの妃ヘラと同一視された。彼女はもともと女性の結婚生活と密接な関係をもつ女神で,広く女性の崇拝を集めていたが,しだいに職能を発展させ,ついにはレギナRegina(〈女王〉)の称号の下に,ユピテル,ミネルウァと並んでローマ市のカピトリウム丘のユピテル神殿にまつられる国家的大女神となった。結婚の女神としては,ドミドゥカDomiduca(〈花嫁を花婿の家へ導く婦人〉),プロヌバPronuba(〈新婦を新婚部屋へ導く婦人〉),出産の女神としてはルキナLucina(〈子どもを光明の中へ出す女〉)などの呼称があり,一般に6月(彼女の名を冠してユニウスJunius月と呼ばれ,そこから英語のJuneなどが来ている)が結婚の好期とされた。

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世界大百科事典内のユノの言及

【ヘラ】より

ゼウスの妃で,その名は〈貴婦人〉の意。ローマ人からはユピテルの妃のユノと同一視された。もともとはギリシア先住民族の有力な女神で,遅れてギリシアの地に侵入したギリシア人によって,みずからの主神ゼウスの正妻の地位に据えられたものらしい。…

【ユリ(百合)】より

…前者が天の川になり,地上に滴ったところからユリが生えたという。ローマ人も女神ユノ(ギリシアのヘラ)の聖花としてこれを賛美し,希望のシンボルであると同時に王位継承者の印ともなった。古代ローマの貨幣の多くにユリは〈ローマ民衆の希望〉という銘といっしょに刻印されている。…

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